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OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)とは、スキャナーやカメラで認識した画像をテキストデータとして変換する技術です。
OCRは、紙の書類を減らし、DXを進める上で必須のソリューションです。OCR業界は世界市場で成長を続け、市場規模は2028年までに263.1億ドルに達し、2020年の3.5倍となると予測されています。(ソース:Grand View Researchのレポート)
しかし、OCRは精度に問題があったり、人手による確認が必要であったり、課題も残っています。
そこでこれらの問題を解決するために、現在ではOCRにAI技術を融合させた「AI OCR」が注目を集めています。
AI OCRによって、従来は手作業で行っていた書類の読み取り作業が自動化され、ビジネスプロセスの効率化や生産性の向上が期待されます。
今回の記事は
AI OCRとは何か
AI OCRのメリット・デメリット
AI OCRの導入の際の注意点
こういったテーマでAI-OCRの概要を紹介します。
弊社RabilooはAI-OCRソリューションを自社開発で提供しています。AI-OCR導入に関するご相談は何でもお気軽にお寄せください。
RabilooのAI-OCRソリューション
AI OCRとは、AI(人工知能)とOCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)を組み合わせた技術です。
OCRは、スキャンや写真などから文字情報を抽出し、コンピュータが利用できるデータ形式に変換する技術です。一方、AIは、機械学習やディープラーニングなどの技術を用いて、データを自動で処理・分析する技術です。
AI OCRは機械学習を通して、機械学習を用いてさまざまなテキストケースを学習し、その経験を通じて精度を向上させることが可能です。
また、機械学習アルゴリズムを使用して、様々な手書きスタイルや書体を識別し解析します。この学習プロセスにより、AI OCRは、手書きのメモや手紙、フォームの記入欄など、さまざまな形式の手書きテキストを識別してテキストデータに変換する能力を獲得します。
AI-OCRは、このようにOCRの精度を向上させることで、文字認識の正確性を高めます。さらにAIによって処理を自動化することで、業務の効率化につながります。
AI OCRに使われるAI技術は、主に以下のものがあります。
コンピュータビジョン技術:文字認識や画像処理の分野で使われる技術で、画像や映像から情報を抽出するための技術です。
ニューラルネットワーク技術:深層学習に代表される、複数の層からなる人工ニューロンのネットワークを用いて、高度な認識精度を実現するための技術です。
自然言語処理技術:言語処理の分野で使われる技術で、文字列から意味を理解するための技術です。
これらのAI技術を組み合わせることで、AI OCRは高い認識精度を実現し、業務プロセスの効率化やコスト削減などのメリットをもたらします。
▶︎RabilooのAI-OCR開発事例:レシートからデータを読み取る
OCRは、印刷された文書をスキャンし、テキストを機械的に抽出して、検索可能な電子ファイルに変換する技術です。
一方、AI OCRは、OCRに人工知能(AI)を取り入れたものです。AIは、機械学習や深層学習を使用して、自己学習や自動改善を行うことができます。つまり、AI-OCRは、OCRの技術を改善し、より高速で精度の高いテキスト抽出を可能にするためのものです。
AI OCRは、通常のOCRと比較して、次のような点で優れています。
AI OCRは、スキャンや写真からテキストを自動的に抽出する技術で、従来のOCR技術よりも正確なテキスト抽出が可能です。
これは、AI技術である機械学習や深層学習を活用することで、自動的に認識精度が改善されるためです。つまり、学習を繰り返すことにより、自動的に正確さが向上していきます。
従来のOCR技術では、書体や文字の大きさ、傾きなどが影響して正しく認識できない場合がありましたが、AI-OCRはこれらの問題を解決することができます。
AI OCRは、より正確にテキストを抽出できるため、より高品質な業務効率化を実現することができます。
AI OCRは、通常のOCRよりも多様な文字認識に対応しています。手書き文字やカーソル文字など、通常のOCRでは認識が難しいものでも、AI OCRでは高い精度で認識できます。
一方、従来のOCRでは単純なレイアウトや標準的な文字に限定される場合が多いです。
AI OCRは、通常のOCRよりも多様なフォーマットに対応しています。例えば、PDF、Word、Excel、PowerPointなど、多様なファイル形式に対応しています。従来のOCRでは、限られたフォントや清潔な印刷テキストに最適化されています。
AI OCRは、高速処理に優れています。大量の文書をスキャンして、短時間でテキスト抽出が可能です。ただ、AI OCRの処理速度は、使用される技術、ハードウェア、データの性質、ソフトウェアの最適化によって大きく異なります。一部の高度に最適化されたシステムは非常に高速に動作する可能性がありますが、一般には、その高度な機能性と精度のために、従来のOCRシステムよりも多くの処理時間を必要とすることがあります。
以上のように、AI OCRは、通常のOCRに比べて精度や認識範囲、フォーマットに対応しているため、より高速で正確なテキスト抽出を可能にする技術といえます。
メリット | 説明 |
高精度 | AI OCRは機械学習モデルを利用して、複雑な文字や書体、手書きテキストも高精度で認識します。 |
適応性 | 新しいフォントや書体、異なる言語に対応する能力を持ち、さまざまなテキストケースに適応します。 |
多言語対応 | 複数の言語に対応できるため、国際的な文書や多言語の環境に適しています。 |
複雑なレイアウトの処理 | 複雑なドキュメントレイアウトやフォーマットを認識し、正確にテキストを抽出できます。 |
学習能力 | 使われるほどにパフォーマンスが向上し、未知のテキストやフォーマットに対応する能力を獲得します。 |
自動化と効率性の向上 | 手作業でのテキスト入力やデータエントリーの必要性を減らし、作業プロセスを自動化します。 |
時間節約とコスト削減 | 手動でのデータ入力に比べて高速であり、長期的には労力とコストを削減します。 |
柔軟なデータ統合 | デジタル化されたテキストは、他のシステムやアプリケーションと容易に統合できます。 |
AI OCRを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。
業務プロセスの自動化
高い精度で多言語を検出
コスト削減
時間の短縮
情報共有の促進
AI OCRなら、手作業での文字入力が不要になり、業務の時間とコストをかなり削減できます。
AI OCRを利用して帳票や書類などの大量の文書を自動的にスキャン・抽出できます。そのため、従業員がデータの入力やチェック作業に費やす時間を短縮することができ、業務プロセスを自動化することができます。
AI OCRは、高度な画像処理技術や自然言語処理技術を活用することで、より高い精度でテキスト抽出を行うことができます。これにより、データの正確性が向上し、従業員が手作業で処理する場合に生じる入力ミスやエラーを減らせます。
現在の高度なAI OCRプログラムでは、複雑な文字であっても検出し、正確に理解できます。 また、複数の言語間で単語を連結することを学習し、翻訳機能をさらに強化することも可能です。
最も顕著な例は、Googleが開発したOCRシステムであるTesseractで、アラビア語やヘブライ語などの右から左への言語を含む100言語のテキストを検出することができます。
結果的に業務の品質が向上し、顧客満足度を高めることができます。
AI OCRの導入で、従業員がデータ入力やチェック作業に費やす時間を短縮することができるため、人件費を削減することができます。また、AI OCRは大量の文書を自動的に処理できるため、従来の手作業に比べて処理速度が大幅に向上し、コストを大幅に削減できます。
AI OCRは、大量の文書を短時間で処理できるため、業務プロセスを効率化し、従業員の作業時間も短縮できます。さらに、AI OCRは24時間365日稼働することができるため、生産性を高めることができます。
AI OCRを導入することで、帳票や書類など、紙の文書をデジタル化できます。デジタル化された情報はクラウド上に保存されるため、従業員はいつでもデータにアクセスでき、情報の共有が簡単になります。
これらのメリットにより、AI OCRは多くの業界やアプリケーションにおいて有用です。文書管理、アーカイブ、データ分析、顧客サービスなど、幅広い分野での利用が可能です。また、時間とコストの削減、作業の効率化、データの正確性とアクセシビリティの向上など、ビジネスプロセス全体にわたる利点があります。
▶︎RabilooのPythonとOpenCVを利用した自動マークシート採点ソフトウェア
デメリット | 説明 |
高いコストがかかる | 高度なAI技術の導入と維持には、高い初期投資と運用コストが必要になります。 |
複雑な処理には負荷がかかる | 複雑なAIアルゴリズムは処理速度を遅くすることがあり、大量のデータや複雑なレイアウトを扱う際には特に顕著です。 |
技術的な要求 | AI OCRの導入と運用には、専門的な技術知識を持ったエンジニアやリソースが必要です。 |
学習データの必要性 | 効果的な学習と精度の向上には、大量の高品質な学習データが必要です。 |
セキュリティの問題 | 機密文書の処理には、データのプライバシーとセキュリティに対する懸念が伴います。 |
完璧ではない | AI OCRも完璧ではなく、特に複雑または不規則なテキストでは誤認識する可能性があります。 |
継続的なメンテナンスが必要 | 技術の進歩に伴い、システムのアップデートやメンテナンスが定期的に必要です。 |
人手による確認が必要な場合がある | AI OCRへの過度の依存は、手動のチェックや人間の監督を軽視するリスクを生じさせることがあります。 |
一方、AI OCRを導入する際に以下のようなデメリットも生じるため、事前に考慮が必要です。
AI OCRシステムの開発、導入、運用には高額な費用がかかることが多いです。高度な機械学習アルゴリズムやニューラルネットワークを利用するためには、専門的な知識を持つ人材や高性能の計算リソースが必要となります。
また、既存の業務システムとAI OCRを連携させる場合、システムの改修や統合が必要になることがあります。そのため、追加のコストや時間が必要になる場合があります。
これらのコストは、特に初期段階や小規模なプロジェクトでは負担となることがあり、特に中小企業やリソースに限りのある組織にとっては大きな障壁になる可能性があります。
AI OCRは高度な処理を行うため、特に大量のデータや複雑なドキュメントレイアウトを扱う場合、処理に時間がかかることがあります。
これは、リアルタイム処理や高速なレスポンスが必要なアプリケーションでは問題になることがあります。
AI OCRシステムの開発、導入、運用には、機械学習、コンピュータビジョン、ソフトウェアエンジニアリングなどの専門知識が必要です。
これにより、専門的なトレーニングを必要とする人材の採用や育成に時間とコストがかかることになります。
AIベースのOCRシステムは、大量の高品質な学習データに依存しています。
これらのデータの収集と前処理は時間がかかり、また、データの品質によっては、システムの精度に影響を与える可能性があります。
機密性の高い文書を処理する際、データのプライバシーとセキュリティが重要な懸念事項となります。
これには、データの安全な管理と適切なプライバシーポリシーの実装が求められます。
AI OCRシステムは完璧ではなく、特に複雑または不規則なテキストを処理する際には誤認識することがあります。AI OCRは、文字の書体や配置、色合いなど、さまざまな要素に影響を受けます。そのため、原稿の質が悪かったり、認識対象の文字が歪んでいたりする場合、認識精度が低下することがあります。
このため、手動のレビューやエラーの監視が必要となります。
技術の急速な進化に伴い、システムの継続的なアップデートやメンテナンスが必要となります。
これには、定期的なソフトウェアアップデートやモデルの再トレーニングが含まれます。
AI OCRの精度は96%と言われており、従来のOCRより精度はかなり高くなっていますが、完璧ではありません。例えば、人間の書いた癖のある文字や、なぐり書きのような文章はAIでも読み取ることができません。
そのため、完全に自動化することは難しく、やはり人間が手動でチェックするプロセスが必要になります。
また、AI OCRシステムへの過度の依存は、手動でのチェックや人間の監督を軽視するリスクを生じさせます。これは、特にエラー発生時の問題解決や意思決定プロセスに影響を及ぼす可能性があります。AI OCRに完全に頼ることで、人間の判断や介入が軽んじられることがあり、これが結果的に誤解や誤処理を引き起こすこともあります。
これらのデメリットを理解し、適切に対処することが、AI OCR技術を効果的に活用するための鍵です。高いコストや技術的な要求は、特に小規模な企業やリソースに限りがある組織にとっては大きな障壁となることがあります。また、技術の急速な進化に伴い、継続的なアップデートやメンテナンスは不可欠です。これらの課題を克服し、AI OCRのポテンシャルを最大限に活用することが、組織の成功につながります。
AI OCRを導入するにあたって以下のような選択肢があります。
AI OCRのソフトウェアを自社で開発・導入する方法です。高いカスタマイズ性があり、特定の業務に最適化できるというメリットがありますが、導入コストや保守管理コストが高くなるというデメリットもあります。
SaaS提供のOCRとは、クラウド上にAI-OCRを提供するサービスです。導入が容易で、低コストで利用できますが、カスタマイズ性は限られます。
OCR技術を搭載したパッケージソフトウェアです。一般的には、文字や帳票などのスキャンデータをデータ化するために使用されます。高い精度が求められる業務に適していますが、導入・保守コストが高い場合があります。
OCRとRPA(Robotic Process Automation)を組み合わせることで、より高度な業務自動化が可能になります。OCRで文字を読み込み、RPAで自動的に処理することができます。これにより、業務の効率化やデータ処理の精度向上が期待できます。
AI-OCRを導入する際には、使用する業務やデータのフォーマット、精度の要求度などを考慮した上で、上記の選択肢を検討することが重要です。また、導入前には他社の事例や実績を調査することも大切です。
AI OCRを導入する際に考えておくべきポイントを3つ取り上げたいと思います。
ビジネスニーズを明確にすること
システムとの連携を考慮すること
データの精度を確認すること
AI OCRは、業務の自動化やデータ処理の効率化を目的として導入されることが多いです。しかし、AI OCRを導入する前に、具体的なビジネスニーズを明確にし、そのニーズに対してAI OCRが本当に必要なのかを検討することが重要です。
具体的には、以下のことを明確にしておきます。
何をどのように自動化するか
導入によって得られるメリット
導入に伴う課題
例えば、OCRを導入する目的が、手作業で行われていた膨大な書類の入力作業を自動化することであれば、どの種類の書類を自動化するのか、何の情報を抽出するのか、どの程度の精度が必要なのかなど、具体的な自動化の範囲を明確にする必要があります。
また、導入によって作業時間が何割削減されるのか、エラー率が何割改善されるのか、どの程度のコスト削減が期待できるのかなど、具体的な数字で示すことが重要です。
AI OCRは、帳票や書類のデータを自動的に読み取り、抽出することができます。しかし、AI OCRが導入されるシステムと連携して、どのようにそのデータを活用するかが重要です。
例えば、顧客の注文書をAI OCRで読み取り、そのデータをERPシステムに自動的に反映させることで、受注処理の効率化が図れます。そのため、導入前に、自社のビジネスニーズを明確にし、AI OCRによって得られたデータをどのように利用するかを検討することが必要です。
AI OCRは、高い精度で文字認識を行うことができますが、100%の正確性を保証することはできません。AI OCRを導入する前に、実際に試して精度を確認し、必要に応じて調整を行うことが重要です。
また、AI OCRが認識できなかった場合の例外処理も検討し、データの正確性を確保することが必要です。例えば、手書きの文字や、非常に古い書類、傷や汚れがある書類など、AI OCRが認識できない可能性がある場合は、どのような手段でそれらの情報を入力し、データの正確性を確保するかを検討する必要があります。また、そのための人的リソースやシステムの改修についても検討することが必要です。
AI OCRの導入事例に関しては以下の記事をご覧ください。
▶︎AI-OCR導入事例から見る業務プロセス改善方法【業種ごとに解説】
AI OCRは従来のOCRに比べてメリットが大きく、技術も日々進化しています。
AI OCRには以下のようなメリットがあり、さまざまな業種で導入されています。
業務プロセスの自動化
高い精度で多言語を検出
コスト削減
時間の短縮
情報共有の促進
機械学習のサンプルも増え、読み取りの精度も向上しているため、数年前には不可能だったことが今では可能になっています。
弊社Rabiloo(ラビロー)はベトナムにおけるOCR技術研究の先端研究者とタッグを組み、独自に研究を重ねたAI OCRソリューションを提供しています。
お客様のご要望に応じて最適なソリューションを迅速にカスタマイズすることができます。
RabilooのAI OCRは読み取り精度が高く(95%)、日本語の読み取りも、もちろん可能です。日本企業様からの引き合いもたくさん来ております。
弊社のAI OCRソリューションにご興味をお持ちの企業様、ぜひお気軽にご相談・お問い合わせください。
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