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近年、ベトナムではデジタル経済の発展を見据えた国家戦略の一環として、IT教育の強化と人材育成が急速に進められています。小学校から大学、さらには企業での実践的な研修に至るまで、若者たちはITスキルを磨く多様な機会に恵まれています。
この記事では、
✔ベトナムのIT教育制度と主要大学
✔政府による支援政策と人材育成計画
✔IT業界の将来性と若者に人気の理由
✔実践教育の現場として注目される企業「Rabiloo」の取り組み
などを詳しくご紹介します。ベトナムにおけるIT教育の最新トレンドを知りたい方や、ベトナム市場に関心のある企業担当者にとって、有益な情報満載の内容となっています。
ベトナムにおけるIT教育は、量・質の両面で急速に発展しています。第4次産業革命の進展や、企業・社会全体でのデジタルトランスフォーメーション(DX)へのニーズの高まりにより、IT分野は現在、最も注目されている業界の一つとなっています。このようなトレンドを受けて、 ベトナム政府も小中高校段階からIT教育を強化する方針を打ち出し、次世代のIT人材育成に力を入れています。
ベトナム政府は、国全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える高度IT人材の育成を目的として、初等教育から高等教育に至るまで、IT教育を強化する数多くの政策を展開しています。特に注目されているのが、2018年12月26日に正式に発表された「2018年版一般教育課程(CTGDPT 2018)」です(出典あり)。
この新カリキュラムに基づき、情報技術は、従来の中学1年(日本の中学1年相当)からではなく、小学3年生から必修科目として導入されました。具体的には、小学3年生から5年生までの間に、以下の3つの目的を持ってIT教育が実施されています:
情報技術の基本的なスキルを幼い頃から身につける
論理的思考力や問題解決能力の育成
他教科の学習や、デジタル社会への適応力の基盤作り
これにより、ベトナムでは将来のIT人材を計画的かつ体系的に育てる環境が整いつつあります。
現在、ベトナムの複数の大学では、国際基準に基づいたIT教育プログラムが整備され、プログラミング、人工知能(AI)、サイバーセキュリティ、データサイエンス、ソフトウェア開発、IoT(モノのインターネット)などの専門分野に力を入れています。
ベトナム国内でIT教育に力を入れている代表的な大学を5校、ピックアップしてご紹介します。
設立年 | 1956年 |
学部特徴 | ベトナム初の技術系大学で、IT・情報通信分野の教育・研究で国内トップクラス。 |
学部・専攻 | 情報技術(Computer Science)、電子工学、ソフトウェア工学など幅広くカバー。 |
強み | 国際共同研究プロジェクトが多く、産業界との連携も盛ん。 |
卒業生の活躍 | 多くの卒業生がベトナムIT業界の中核を担い、海外の大手IT企業でも活躍。 |
設立年 | 1957年(旧サイゴン工科大学) |
学部特徴 | 南部最大の工科大学で、IT教育は実践重視。ソフトウェア開発、ネットワーク、AIなど先端分野も強化。 |
研究・施設 | 最新のITラボ、スマートシティ関連の研究拠点がある。 |
企業連携 | 地元IT企業や外資系企業と密接に連携し、インターンや共同研究を推進。 |
卒業生 | ITスタートアップ創業者や技術リーダーも多数輩出。 |
設立年 | 1993年(国家大学として設立) |
学部特徴 | 理論的な基礎から応用まで幅広く学べる総合大学の情報技術学部。特にAI、ビッグデータ、セキュリティ分野に注力。 |
国際連携 | 多くの海外大学と交換留学プログラムを実施。 |
学生支援 | ハッカソンやITコンペティションを積極的に開催。 |
卒業生 | 研究機関やIT企業、起業家としての道も。 |
設立年 | 1995年 |
学部特徴 | IT教育のほか、データサイエンス、クラウドコンピューティングにも強みを持つ。 |
研究・施設 | スマートキャンパス化を推進し、最新設備を完備。 |
国際連携 | 大手IT企業や海外パートナーと共同研究を積極展開。 |
学生支援 | インターンシップの紹介や就職支援が充実。 |
設立年 | 2006年(ベトナム最大の民間ITグループFPTが運営) |
学部特徴 | IT特化の私立大学で、英語教育や実務研修に重点を置く。 |
カリキュラム | ソフトウェア開発、AI、IoT、ゲーム開発など最新技術を取り入れた実践的プログラム。 |
学生支援 | FPTグループをはじめ、国内外のIT企業での就業機会が豊富。 |
国際認証 | ABET認証取得(アメリカ工学教育認証)で国際的にも評価。 |
ベトナム政府は急速に進展するデジタル経済と国家全体のデジタルトランスフォーメーションのニーズに応えるため、情報技術(IT)分野の人材育成を強化するための重要な国家戦略を次々と打ち出しています。
IT人材は、未来の経済成長と国際競争力を左右する重要な鍵と位置づけられており、教育分野への投資は国家戦略の中心的要素となっています。
以下では、ベトナムが実施している代表的なIT教育振興政策や国家的取り組みについて詳しく紹介します。
決定番号 942/QĐ-TTg に基づき、IT教育はデジタル政府と経済の柱として位置付けられています。
主な内容:
初等・中等教育課程に「デジタルスキル」「プログラミング的思考」「データリテラシー」「情報セキュリティ」の統合
国家デジタル学習プラットフォームの整備による、オープン教材や技術知識へのアクセスの拡大
教員と学生によるデジタルツールの活用を推奨し、実践的なITスキルを養成
デジタル国家を目指す全体戦略の中で、IT人材の育成が中核に据えられています。
教育関連の目標:
2030年までにすべての学生が基本的なデジタルスキルを習得
100万人のデジタルスキル人材を育成(リスキリング & アップスキリング)
短期講座・デジタル認定・MOOC(オンライン講座)による柔軟な学習機会の提供
企業と学校の連携による実践的カリキュラムの整備
2018年に公布された新教育課程に基づき、2020年から小学校3年生以上で情報科目が必修化されました。
授業内容の例:
Scratchを活用したプログラミング思考の育成
小学生からパソコン操作や教育用ソフトの使用を導入
中学・高校ではPython、データベース、AI、ロボティクスなどを教授
Hour of Codeや全国規模のSTEM・ITコンテストへの参加を推奨
国家の産業近代化戦略の一環として、国際基準に対応可能なIT人材の育成を目指す政策です。
主な施策:
ハノイ工科大学、HCM市の情報大学、FPT大学など、重点大学への支援
大学内にAI・IoT・ブロックチェーン・ビッグデータなどの先端技術ラボを設置
国際共同プログラムや専門家・学生の交換プログラムへの国家予算投入
政府・企業・教育機関の三者連携を通じて、実社会に即した人材育成が活発に行われています。
具体的な事例:
FPT、VNPT、Viettel、Samsung などが奨学金や実習プログラム、設備支援を提供
日本、韓国、アメリカなどと連携し、ブリッジSE・AI/ML研修・ITインターンシップを展開
企業がカリキュラム設計に参加し、在学中からの採用活動も積極化
ベトナム政府の支援と実効性のある政策により、IT人材の教育・育成が国家レベルで強化されています。こうした取り組みのおかげで、IT分野は将来性の高い分野として若者の間で注目を集めており、その魅力は年々高まっています。
それでは、この分野がなぜこれほどまでに若者を惹きつけているのか、その魅力を詳しく見ていきましょう。
IT分野は、デジタルトランスフォーメーション(DX)やインダストリー4.0の進展に伴い、今後数十年にわたって高い成長が見込まれています。
ベトナム政府は、2030年までにデジタル経済のGDP比率を20%以上にするという目標を掲げています(ベトナム政府「国家デジタル変革計画」)。
それにより、IT人材の需要も大きく増加しており、2025年までに53万人のIT人材不足が予測されています(TopDevレポート 2023年版)。
AI、ビッグデータ、クラウド、IoTなどの先端技術分野は特に注目されており、「将来性が高く安定している」というイメージが若者の間で広がっています。
🔍 ベトナムの高校生や大学生にとって「将来なくならない職業」として、ITは常に上位にランクインしています。
他業種と比べ、IT業界は初任給が高く、キャリアアップに応じて収入が飛躍的に伸びるのが特徴です。
2024年の統計によると、ベトナムのITエンジニアの平均月給は約29,000,000 VND(約16万円)以上で、国内平均の2倍近くに達しています(TopDev, VietnamWorks調査)。
経験5年以上のソフトウェア開発者の場合、月収は40,000,000~70,000,000 VNDにも達します。
日系・欧米系の外資IT企業に就職した場合、さらに高収入が期待でき、年収1,000万円レベルの人材も出始めています。
💡 また、フリーランスやリモートワークの選択肢もあり、柔軟性と安定性の両方を兼ね備えた職業と言えます。
ITはグローバルに通用するスキルであり、国内外問わず就職の機会が豊富です。
ベトナムでは現在、25,000社以上のIT企業が存在しており、毎年数万人の新卒IT人材を求めています(情報通信省データ)。
海外向けオフショア開発の需要も増加しており、日本、韓国、アメリカなどの企業がベトナム人IT人材を積極的に採用しています。
ITスキルと英語があれば、海外企業へのリモート勤務や海外就職のチャンスも拡大しています。
✈️ 実際に、日本向けの「ブリッジSE(架け橋SE)」や「AI開発者」の求人は年々増加傾向です。
若者にとって、職場の雰囲気や価値観は非常に重要です。IT業界は、フラットで柔軟性があり、クリエイティブな職場環境として人気があります。
多くのIT企業では、服装自由・リモートワーク・フレックスタイムなどを導入し、若者が働きやすいカルチャーを形成しています。
チームでのプロジェクト推進やアイデア重視の文化は、創造性や主体性を重視するZ世代に適していると言われます。
Google、FPT Software、Tikiなどの企業では、オフィスにカフェ、ジム、ゲームルームなどを備えた快適で自由な職場設計も導入。
🧠「単なる技術者ではなく、社会を変えるクリエイターになれる」──それがIT業界の魅力です。
ベトナムではIT教育が大きく進展しており、若い世代の技術力が着実に高まっています。
その流れの中で、Rabilooは実践的な学びの場として、次世代のIT人材が成長できる環境を提供しています。ここでは、そんなRabilooでの成長のあり方をご紹介します。
Rabilooは、社員一人ひとりのスキル向上とキャリア成長を支援するために、継続的な教育制度と学習文化を大切にしています。主な取り組みは以下の通りです。
語学トレーニングの提供
社員向けに、英語や日本語の無料レッスンを定期的に実施しています。内容は日常会話からビジネス会話、TOEICやJLPT(日本語能力試験)などの資格取得を目指すカリキュラムまで幅広く対応しています。
専門スキルとソフトスキル研修
最新の技術トレンドや開発ノウハウを学ぶ社内技術セミナー、コミュニケーション力・タイムマネジメントなどを高めるソフトスキル講座を定期開催。
社内チャレンジ企画
社員の主体的な学びを促すため、ハッカソンや技術クイズなどの社内イベントも実施。チームで協力しながらアイデアを形にすることで、実践的なスキルとイノベーション力を養います。
実務研修と営業スキル強化
新入社員は、現場でのOJTや製品知識、IT業界の基礎、顧客対応スキルを学ぶ実践的な研修プログラムに参加。特に営業職では、顧客志向と提案型営業を重視した内容になっています。
出典: LinkedIn求人情報
経験豊富なメンターのサポート
配属後は、専門分野に精通したメンターが個別にサポート。疑問点の解消やキャリアの方向性について相談できる環境が整っています。
ベトナムは、第4次産業革命への本格的な参入とデジタル経済の構築に向けて、早期からIT人材の育成に力を入れています。
特に初等教育段階からIT教育を導入し、子どもたちが小さいうちからテクノロジーに親しめる環境を整えています。
世界各国でIT分野の競争が激化する中、ベトナムが情報技術を早期に学校教育へ取り入れたことは、戦略的な一手と言えるでしょう。これにより、デジタルスキルの格差が縮小されると同時に、若い世代がAI、ビッグデータ、プログラミング、サイバーセキュリティなどの先端分野に自信を持って挑戦できる基盤が築かれています。
ベトナム政府によるこの先見的な取り組みは、今後、国際社会で通用するIT人材を多数輩出するための重要な布石となっています。
💙こうした背景のもと、Rabilooでは専門的な教育と、確実かつ最適なサービスの提供を何よりも大切にしています。
長期的な成長と信頼あるパートナーシップの構築を目指し、質の高いのサービスをご提供できるよう努めております。
ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
お客様のご要望やお話を丁寧にお伺いし、ご期待に沿った最適なご提案をさせていただきます。
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