株式会社ほねごり × Rabiloo|DX伴走インタビュー
整骨院DXで54店舗・年商100億円目前POSレジと予約システムを8年かけて作り込んだ、ほねごりの事例
東京・神奈川・埼玉に鍼灸整骨院54店舗と整形外科クリニックを展開する株式会社ほねごり。グループ全体で57拠点、従業員741名(2025年12月現在)で、来年度にはグループ年商100億円の達成を見込んでいます。
ただし、最初から大掛かりなシステム投資をしたわけではありません。Excelや手書きで管理していた売上予測や予約業務を、事業の成長に合わせて一つずつシステム化していった。その過程で、開発パートナーとして8年にわたり伴走してきたのが、ベトナムに開発拠点を持つRabilooです。
POSレジと自動入金機、予約システム、事前問診票、デジタルサイネージ、社内SNS「WILLMate」。現場の課題が見えるたびに作り、運用しながら直してきた仕組みについて伺いました。
54店舗の整骨院グループ、ほねごり
社名は柔道整復師の「骨継ぎ」の"骨"と、チームで支え合うゴリラの"ごり"に由来します。まずは、その事業について阿部社長に伺いました。
ほねごりとはどんな会社か、改めてご紹介をお願いします。
阿部社長
ほねごりは創業13年目に入りまして、鍼灸、柔道整復、矯正といった日本古来の技術をベースに、筋肉・骨格・神経の3つのカテゴリーをまるごと治療していくというコンセプトでやっています。体が元気になるだけでなく、来ていただいた方が前向きになれる。そういうパワースポットのような治療院を作っていこうという想いで、地域に貢献していこうと。
前島さんから見て、ほねごりの強みはどこにありますか。
前島さん
とにかくビジョンを大事にする会社です。やらされる仕事ではなくて、「自分はこれを実現したい」という志を持って働く。そしてチーム力、組織力を大事にしていて、山の頂上を1人で見るんじゃなくて、みんなで見ようぜ、というパワーのある会社だと思っています。
「人の力だけ」では、店舗展開に限界がある
ほねごりは創業初期から、売上予測や予約管理の仕組み化に取り組んできました。ただし店舗数が増えるにつれ、アナログ管理の限界が見えてきたといいます。
事業が拡大する中で、デジタル化が必要だと感じたのはどんな瞬間でしたか。
阿部社長
日本が抱えているのは、人材の採用難と人口減少です。その中でいかに1人の生産性を上げるか。これは全企業の課題ですよね。受付が会計して、予約も取って、というのを全部人の力でやっていた。それをPOSにして、患者様が自分でお金を払い、社員がお金を触らなくても済む形を作る。予約も患者様自身が取れる流れにする。人の手を少しでも減らして生産性を上げていこうと。
前島さんは、現場でどんな課題を感じていましたか。
前島さん
一番大きいのはヒューマンエラーです。生産性が高い人もいればそうでない人もいる。この波がある。店舗を展開していこうと考えた時に、誰でもできる仕組みがないと再現性がなくなっていく。DX化していくことで差がなくなり、1人1人が患者さんに向き合う時間も増える。確実にこの方が形になるなと思っていました。
ただし前島さんは、仕組み化には前提があると釘を刺します。
前島さん
現場がいちいち入力しなきゃいけないとか、現場のスタッフの仕事が増えるようではあまり意味がない。オペレーションが変わったり増えることで、本来患者さんに使わなきゃいけない時間をパソコンに向かって作業しなきゃいけない状態になるのも良くない。生まれた時間をより本来使うべきところに使う。これがセットになっていないといけない。
もしDXに取り組んでいなかったら、今の会社はどうなっていましたか。
阿部社長
展開はできてないでしょうね。売上も出てないでしょう。個人の能力に紐づけるしかない。できて4店舗くらいで止まっていたかもしれません。
できて4店舗くらいで止まっていたかもしれません。
4店舗と54店舗。この差が、仕組み化への投資判断がもたらした結果です。
既製品ではなくオーダーメイドを選んだ理由
ではそのDXを、どのように進めたのか。ほねごりが選んだのは既製品のツール導入ではなく、自社の業務に合わせたオーダーメイド開発でした。
既製品ではなくオーダーメイドで進めようと思った理由は。
阿部社長
いろんな成長をしていく上で、いかに現場に合ったものを作るかとなると、もうオーダーメイドしかないんです。例えば、整骨院の治療だけだったところに鍼灸を入れよう、次は訪問鍼灸で患者様の家に伺おう、と。成長とともにオペレーションはどんどん変わっていく。そうなった時に、既製品のツールではこれを全部入れて一元管理するのが難しい。それは間違いなく起こるだろうと考えていました。
会社の規模がまだ小さい頃です。投資に迷いや不安はありましたか。
阿部社長
全くないですね。やらないと生きていけないという、もう一択でした。人にしかできないことを人がやればいい。いかに効率よく、社員が安心して働ける環境を作るか。それが社長としての一番の仕事だと思っています。勇気を持って投資してきました。
Rabilooと作ってきたもの
Rabilooと一緒に作ってきたシステムを教えてください。
阿部社長
まずデジタルサイネージ。次にPOSレジ、自動入金機ですね。それから予約システム、事前問診票。最近作って大きいのは、WILLMate(ウィルメイト)という社内SNSです。あとは「ほねごりスキャン」という姿勢撮影の分析システムも作っていただきました。
一度に整えたものではありません。業務への効き方で分けて紹介します。
会計を、受付の仕事から外す(POSレジ・自動入金機)
最初に大きく変わったのは、会計まわりでした。
具体的に、時間がかかっていた作業やミスが起きやすかった部分は。
阿部社長
会計の締め作業ですね。患者様からお金をいただいて、締めて、測って、帳簿に入れて、入金する。この一連の作業が、自動会計にしたことで丸ごとなくなった。現金の数え間違いもなくなり、社員がお金をほぼ触らないオペレーションにできた。これは大きいですね。
Rabilooが開発したPOSレジは、施術が終わると会計待ちが院内の端末に届き、患者が自分で支払いを済ませる形にしました。請求額はカルテ番号と患者IDに紐づいた状態で届くため、保険の負担割合も優待の適用も、患者が画面に向かう前に計算が終わっています。
「社員がお金を触らない」状態は、ソフトウェアだけでは作れません。自動入金機が紙幣と硬貨を読み取って釣銭を返し、カードは決済端末で処理する。機械まで含めて一体で開発しています。締めの側も同じで、シフトの交代ごとに開始残高と終了残高、その間の入出金が記録され、手元の現金と合わなければその場で警告が出ます。カード決済のログは日ごとに照合され、ずれがあれば拠点と端末まで特定できます。
画面と機能は、自動精算POSの開発事例で紹介しています。
前日の段取りを、全店で同じ形にする(予約システム・事前問診票)
ほねごりには元々、翌日に来る患者ごとに、どのメニューを提案し誰がどう動くかを前日のうちに決めておく段取りがありました。カルテに手書きのメモを貼って回していたやり方です。
阿部社長
店舗を展開していく上で一番重要なのはもうここだな、というのは私の中でキーだった。店舗展開するために再現性がなきゃいけない。
Rabilooが作った予約システムは、この段取りをそのまま動かすものです。既製品を入れて業務を合わせさせるのではなく、54店舗のどこでも同じ順番で前日の準備が済む形にしました。予約枠は10分刻みで、施術のベッドの空きまで含めて管理します。営業時間や休憩、サービスごとの受入上限は店舗ごとに設定でき、本部からは全店の予約状況を並べて見られます。
ここ1〜2年で、患者様の入口も変わったそうですね。
阿部社長
今まではLINEで予約を取ってLINEでやってましたので、今はもうWebから予約を患者様が取れる状態に持っていった。とはいえ、ほねごりが大事にしてるのは、便利にしすぎるのも良くないということ。便利にすると何が起こるかというと、コミュニケーションが減る。顔のないやり取りは無機質なものになりがちなので、あえて電話をしなさいというオペレーションを入れたりはしてますね。
事前問診票も同じ時期に加わりました。来院前に患者自身が入力する形で、画面の人体図を直接なぞって痛む部位を指定し、症状を選びます。どこを自動化し、どこに人を残すか。この線引きは、開発の要件そのものでした。
予約と問診の画面は、予約・問診システムの開発事例で紹介しています。
店舗が増えても、運用の手間を増やさない(デジタルサイネージ)
阿部社長
整骨院でサイネージがある整骨院って、ほぼ見たことありませんので。今まではポスターを貼って毎回やってましたけど、ポスターをなくしてサイネージで映る流れにした。本社の中でも作業が減りますからね。ポスターを貼って剥がして、やらない院もあったり。店舗が増えれば起こりますけど、自動で変わっていくっていうのは非常に大きい。
Rabilooは本部から全店の表示内容を一括で配信できる仕組みを開発し、店頭に置く端末そのものも提供しています。配信先の端末はオンラインかオフラインか、異常が出ていないかを本部の画面で監視でき、再起動や画面の確認は現地に行かずに行えます。異常を検知すればアラートが届きます。店舗数が増えても、本部の作業量は変わりません。
配信の設定と端末の画面は、デジタルサイネージの開発事例で紹介しています。
会えない人と、同じ文化を共有する(社内SNS「WILLMate」)
店舗が50を超えると、経営層と現場の距離は物理的に広がります。ほねごりはもともとFacebookのWorkplaceを社内SNSとして使っていましたが、サービス終了が決まりました。
前島さん
このインフラをなくしたら我々のらしさがなくなるよね、というところで、自社専用のアプリとして新たに作ったのがWILLMateです。自分たちでカスタマイズできることが大きいです。マニュアルも全部入れられますし、教育のツールとしても使える。組織図を入れたり、この人がどんなスキルを持っているかを可視化するタレントマネジメント的な機能も入れていこうと考えています。
前島さん
社員がとにかくアウトプットする習慣がすごいんです。ちょっと目を離した隙に通知がすごい数来てるくらい。経営層と現場は、店舗が増えるほど距離が出てしまう。でもWILLMateがあれば、ほとんど会わない人の投稿も見えるし、顔写真も見える。それに対して「素晴らしいね」とコメントやいいねを返す。社員からするとものすごくやりがいになる。
新人が年間100人以上入社する組織で、同じ水準の情報と教育を届ける基盤にもなっています。
そのほかに作ってきたもの
- ほねごりスキャン 正面と側面の姿勢写真に測定グリッドと傾きの線を重ね、角度を数値で示します。結果はQRコードで書き出せるので、患者への説明にそのまま使えます。
- 会員・店舗マスタ 患者のプロフィールを本登録と仮登録で分けて管理し、医療システムのカルテ番号と連携して診察券番号を発行します。
- 売上管理 拠点ごとの実績を集計し、予算とのギャップ、前年同月比、月末時点の着地見込みを自動で算出します。月末の着地を先読みする仕組みは、創業まもない頃にほねごりが自社で作ったものです。それを引き継ぎ、54店舗ぶんを扱える形に作り直しました。
現場はどう変わったか
DXを進める中で、患者さんとの関わり方に目に見える変化はありましたか。
前島さん
顕著に出てくるのは客数です。カルテの枚数、通院されている方の数、そしてLINE登録数。ここはかなり伸びました。特にPOSレジは大きかった。予約と会計がギュッと短くなったことで、待たせる時間が減り、その分受付がちゃんとコミュニケーションを取れるようになった。これは大きかったと思います。
阿部社長から見て、お客さんの反応はいかがですか。
阿部社長
いろんなチャレンジしてるね、というのはありますよね。患者様からも楽しんでいただいてるという声は聞きますね。
作って終わりにしない
システムは入れた瞬間が完成ではありません。前島さんは、現場から声が上がる状態を保つことを重視しています。
社員の方から、システムについてフィードバックは上がっていますか。
前島さん
むしろ上がってきてほしいんです。問診票をWebでやれるようにしても、実際やってみるとちょっとしたズレやエラーが出てくる。それを週次のミーティングで現場から吸い上げて、解決して、また発信していく。これを続けていくと、声がだんだん減ってくる。声が減るということは、エラーが減っているということ。このサイクルをちゃんと回すことが大事だと思っています。
声が減るということは、エラーが減っているということ。
前島さん
やる前から悩むんじゃなくて、やってみて考えよう。まずやってみて、経験して、ズレを修正して。そういうやり方でずっとやってきた。
8年でこれだけのシステムが積み上がったのは、一括導入の計画があったからではなく、このサイクルを回し続けた結果です。
「何をやるか」より「誰とやるか」
Rabilooとの仕事で、パートナーとしての相性を感じるのはどんなところですか。
前島さん
クオン社長とは出会って結構長いですし、幹部の方にも日本に来ていただいてコミュニケーションを何度か取らせていただいた上で、非常に信頼できる仕事観、人柄も含めて、ものすごく合うなと。やっぱり「何をやるか」も大事だけど、「誰と仕事するか」がものすごく大事。相性ってあるので、それをすごく大事にしてパートナーは選んでいます。
阿部社長がベトナムを訪問して感じたことは。
阿部社長
目標達成にコミットしていく文化があるということ。家族を大事にする、仲間と一緒にやろうという空気も皆さんから滲み出ている。
AIで時間を作り、人に使う
ほねごりのDXは、まだ途中です。次に見ているのはAIの活用で、前島さんの構想は具体的でした。
前島さん
患者様が初めて来た時に姿勢写真を撮って、分析して問診をして、話した内容をメモして、終わった後にカルテを書いて保管する。これが今のオペレーションです。ここを、話している内容が自動で文字化されてカルテになり、メニューも自動で決まる、というところまでいければ、抜け漏れもなくなるし、社員が残って書く時間もなくなる。
阿部社長は、WILLMateに毎日蓄積される社員のアウトプットを使った「ほねごりAIエージェント」を構想しています。
この構想の手前にあたる部分は、すでに動き始めています。運営データを自然言語で照会できるAIチャットボットを開発し、管理者が「来院数がこの数を超えた店舗」といった聞き方をすると、集計結果を画面に返し、詳細はExcelで書き出します。予約システムにも、問診やカウンセリングの音声を文字起こしして評価する機能が入っています。前島さんが描くカルテの自動化は、この延長線上にあります。
ただし、目的を取り違えないことを前島さんは強調します。
前島さん
我々は「商品は人」だと思っています。何もかもAI、何もかも利便性となって、人と人との関わりがおろそかになってはいけない。時間を生み出せるところは短縮して、その分を患者さんと向き合う時間に使う。
インタビューの時点で「動いているかどうしようか」という段階だった患者向けのアプリも、その後かたちになりました。来店のスタンプや歩数の記録で、来院と来院のあいだの接点を作る仕組みです。
8年前に「社員がお金を触らない」会計を作ったのも、同じ考え方の延長にありました。会計を受付の仕事から外し、空いた時間を患者との会話に回す。作ってきたものは変わっても、何のために作るかは変わっていません。
本記事は2025年11月実施のインタビューを基に構成しています。各システムの機能については、2026年8月時点の開発内容を含みます。
この事例の概要
会社概要
- 企業名
- 株式会社ほねごり
- 代表者
- 阿部 公太郎
- 設立
- 2014年7月
- 所在地
- 神奈川県相模原市緑区橋本3-13-1 パークスクエア101
- 事業内容
- 鍼灸接骨院、整体院、トレーニングジム、クリニック支援、IT事業、医療機器卸・販売業、セミナー事業ほか
- 店舗数
- 鍼灸整骨院54店舗ほかグループ全体57拠点(2025年12月現在)
- 従業員数
- 741名
- Webサイト
- honegori-group.com
Rabilooが開発したもの(2017年から現在まで)
- 01POSレジ・自動入金機患者自身が支払いを済ませる自動精算。締め処理と現金の照合まで記録する
- 02予約システム前日の段取りを全店で同じ形にする。LINEからWeb予約へ移行
- 03事前問診票来院前に患者が入力。人体図をなぞって痛む部位を指定できる
- 04デジタルサイネージ本部から全店へ一括配信。端末の稼働状況も本部から監視する
- 05ほねごりスキャン姿勢写真に測定グリッドと傾きの線を重ね、角度を数値で示す
- 06社内SNS「WILLMate」情報共有、マニュアル、組織図、タレントマネジメントを1か所に
- 07会員・店舗マスタ患者プロフィールとカルテ番号、店舗コードとエリアの管理
- 08売上管理予算とのギャップ、前年同月比、月末の着地見込みを自動算出
近い進め方から
自社の範囲を決める
現在の業務や既存システムの状況を伺い、どこから着手できるかを整理してご案内します。要件が固まっていない段階でも構いません。
-
01
近い事例業界名だけでなく、対象業務や運用課題から確認
-
02
最初の範囲既存システムとの連携も含め、着手できる単位を整理
-
03
継続開発本番導入後の改善や開発体制までご案内