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「ユーザーに新しい価値を提供し」、「ユーザーの抱える真の課題と最適な解決方法を探し当てる」ことはビジネスにおいての最重要課題です。
またこれは、DXがまさに目指さんとするところです。
さて、これを可能にすると話題になっている手法が「デザイン思考」です。
あなたも聞かれたことがあるかもしれません。
「デザイン思考」と聞くと、デザイナーやクリエイターのもの?という印象を持たれるかもしれません。
しかし「デザイン思考」はデザイナーだけでなく、ビジネスに関わるすべての人が身につけると良いフレームワークです。
この記事では、「デザイン思考」とは何か、どのように実践していく良いか、あらためて「デザイン思考」の基礎知識をわかりやすく解説したいと思います。
デザイン思考を使って、現状を打破していきたいすべてのビジネスパーソンに参考にしていただければ嬉しいです。
まず、ここでいう「デザイン」とは、単にデザイナーがおこなうような、「外観を美しく整える」という意味に限定されているわけではなく、「設計する」という考え方が含まれています。
つまり、「デザイン思考」とはわかりやすく言うと、「問題を解決する方法を設計するための考え方」のことです。
デザイン思考が可能にするのは、「ユーザーの抱える本当の課題を知り、既存の価値観にとらわれない、新しい体験をユーザーに提供すること」ということです。
これまでのビジネスにおいては、技術的に優れた製品を、成長している市場に供給することで大ヒット商品を生み出すことができました。
しかし、第3次産業革命(インターネット)以降は、大量生産で物が売れる時代が終わりました。
今の時代は、消費者の価値観が大きく変化し、いい「モノ」が得られるのは当たり前、いい「体験」が得たい、つまり、UX(ユーザーエクスペリエンス)が最も重要視されるようになっています。
デザイン思考で可能にするのはまさにこの部分、ユーザーの「自分でも気づいていないニーズを察知し、既成の概念にとらわれずユーザーに新しい体験をデザインする」というところなのです。
デザイン思考は以下の5つのプロセスで成り立っています。
共感
定義
アイデア
試作
テスト
このプロセスは、各フェーズを一度きり行えば完了、という単純なものではなく、何度も何度も繰り返して実践していくことで効果が得られる思考法です。
「共感」のフェーズは問題を発見するための準備です。問題を見つけるための情報を集めます。
このフェーズでの目標では、できるだけ相手の気持に寄り添うことで、ユーザーが不便に感じている点や本当のニーズがどこにあるのかを探っていくことです。
ユーザーがどのような体験をしているかを観察するところから始めます。
そして、自分もユーザーと同じように実際に体験してみます。事前の知識や思い込みは忘れて、初心者の視点を持つことを意識します。そうすることで、違和感を発見しやすくなり、ユーザーが実際に抱えている課題に気づきやすくなります。
次に、関係する人々に直接インタビューすることから、どこに問題があるのかを探すための情報を得るようにします。
インタビューして集めた情報をもとに、解決すべき問題を決めます。
「共感」では、問題が見つかりにくかったり、問題がたくさん見つかりすぎることがあります。このフェーズでは「今回、自分たちが解決しなければならない問題」を一つに絞るようにします。
問題のリフレーミング(別の視点から再定義)することも必要でしょう。ユーザの悩みについて別の視点からも見直して見ることで「真に解決すべき問題はなにか」を探す作業をします。
このフェーズでは、チームでのブレインストーミングを通して、問題解決のためのアイデアをとにかくたくさん出し合います。
アイデアの良し悪しはここでは問いません。
優先順位の高いものから、次のプロセスに進めていきます。
アイデアを実際に試すための試作品を作っていきます。
例えば何かのアプリを作ろうとしているのであれば、紙に書いたようなものでも構いません。アイデアを試すことが重要なので、必要なポイントを抑えた凝りすぎないプロトタイプ(試作品)を作ります。
実際にユーザーにプロトタイプを体験してもらい、アイデアの評価を行ってもらいます。
フィードバックをもとにプロトタイプを改善し、徐々にゴールに近づけていきます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、非常に定義が難しい概念ですが、デジタルを使って業務や経営そのものを変革していくという考えを含んでいます。
ITやデジタル競争力において、日本は世界から遅れを取ってる状態で、経済産業省もDX推進を掲げていますが、ほとんどの企業では進んでいないのが現状です。
実際、DXは単なるデジタル化やIT化のことではなく、企業文化も変えるような革新的な変化が求められるため、経営者自身が動かなければなりません。しかし、一般的に日本の経営者はアメリカの経営者に比べてITに危機感や関心がなく、問題を先延ばしにしているためDX推進の鈍化は社会問題になっています。
これを打破するために、IPAの出した「DX白書2021」の中でも、「デザイン思考」がDX推進の手法のひとつとして取り上げられています。
デザイン思考で行うことは、まさにDXそのものと言っても過言ではないくらい共通しているので、デザイン思考はDX推進に落とし込みやすいフレームワークです。
デザイン思考は繰り返し行うので、時間がかかります。
また、多くの変化が求められるため、多くの場合、経営者に歓迎されません。
人は年を取れば取るほど、変化を嫌い、新しいものを本能的に避けようとする傾向があります。
そのため、デザイン思考で生み出された新しい価値観も、現場には認められないことは十分考えられます。
しかし、よりよいUXを提供することは、本質的な利益を生みます。
ソフトウェアやアプリ開発においては、リリース後に発生する重大な問題の半数以上がUXに関わる問題です。
リリース後に対処しようとすると、費用は開発段階で対処するのに比べて100倍かかると言われています。
デザイン思考でユーザーの本当の課題に最初から気づいて対処するなら、結果的に費用を節約し、多くの利益を生み出すことを忘れてはいけません。
では、どのようにデザイン思考をビジネスに取り入れることができるでしょうか。
スモールスタートで始めるなら小さな実績が得られて、周りの賛同も得やすくなります。
▶︎ワークショップ形式で行うデザイン思考の実践例についてはデザイン思考 実践編 ~デザイン思考のプロセスを実例で解説~という記事をご覧ください。
DXは、全社に関わる一大プロジェクトです。
いきなり手をつけても不可能です。
例えば、まず、自分の手の届く範囲の業務でペーパーレスやデジタル化を進めることができます。
この場合ユーザーとなるのは、業務担当の社員になります。
社員に寄り添い、共感するところからはじめて、本当の課題を拾い出し、課題を定義し、アイデアを出し、試作品をつくり、テストする、この流れを成功させ実績を積むことがスモールスタートでの成功体験になります。
スモールスタートは、自分の裁量が効き、数人で行えるプロジェクトが理想です。
実績を積むことで、さらにもう少し大きな範囲でデザイン思考を試すことができるように周りの理解が得られるかもしれません。
この記事では、今ビジネスで話題の「デザイン思考」について簡単に解説してまいりました。
デザイン思考とは、「ユーザーの抱える本当の課題を知り、既存の価値観にとらわれない、新しい体験をユーザーに提供すること」を可能にする考え方のことです。
デザイン思考の5つのプロセス、
共感
定義
アイデア
試作
テスト
を何度も繰り返し経て、本当にユーザーの悩みを解決するプロダクトが生み出せます。
デザイン思考は実践してナンボなので、スモールスタートで実践してみましょう。
弊社Rabilooは企業のDX推進のためのコンサルティングを行っています。
貴社の本当の悩みをヒアリングして、ITがその課題をどのように解決するか、アイデアと開発を行います。
まずは、お気軽に無料相談で貴社の課題をお聞かせください。
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