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eKYCとは?読み方・仕組みから、2027年の法改正まで徹底解説

eKYCとは?読み方・仕組みから、2027年の法改正まで徹底解説

銀行口座を作ったりフリマアプリに登録したりする際、「スマホのカメラで、運転免許証の『厚み』を斜めから必死に撮らされた経験」はありませんか?

あの面倒な手続きが、eKYC(電子的な本人確認)です。

「スマホで完結して便利になった」と思う反面、少し煩わしく感じることもありますよね。

しかし現場で伴走していると、実は「eKYC=免許証をスマホで撮って送る仕組み」という認識のままでは、企業にとって非常に危険な状態であることがわかってきました。

なぜなら、AI技術の進化により「写真」は簡単に偽造できるようになり、2027年には国によって「写真送信での本人確認」が法律上、完全に禁止されることが決まっているからです。

eKYCは、単なる面倒な手続きではありません。

裏側では「ルパン三世のようなAIの変装(ディープフェイク)」を見破るための、見えない攻防が繰り広げられているのです。

この記事では以下のことがわかります。

この記事でわかること
  • eKYCの正しい読み方と意味

  • 従来の本人確認との違い(セキュリティゲートの例え)

  • なぜ2027年に「写真送信」がダメになるのか

  • 最新の不正の手口(ディープフェイク)と防ぎ方

eKYC(イーケーワイシー)とは?読み方と意味を簡単に解説

「色々なサービスで本人確認を求められるけれど、これって一体何をしているのだろう」と疑問に感じたことはありませんか。

eKYC(イーケーワイシー)とは、スマートフォンやパソコンを使って、オンライン上で完結する「電子的な本人確認」のことです。

eKYCは、「electronic(電子的な) Know Your Customer(あなたの顧客を知る)」の頭文字をとった専門用語です。「顧客が本人であるかを知る(確認する)」手続きを、デジタルで行うことを意味します。

これまで、しっかりした本人確認といえば、銀行の窓口まで足を運んで運転免許証を見せたり、身分証のコピーをわざわざ郵送したりするのが一般的でした。

しかし、この方法では利用者にとって面倒なだけでなく、企業側にとっても確認に数日間の時間と人件費がかかってしまいます。

そこで、手元のスマートフォンのカメラ機能などを使い、インターネット上だけで素早く安全に手続きを終わらせる仕組みとしてeKYCが登場しました。

現在では、銀行口座の開設だけでなく、フリマアプリの登録や携帯電話の契約など、私たちの身近な生活のさまざまな場面でeKYCが使われています。

eKYCと従来のKYC(本人確認)はどう違う?【セキュリティゲートの例え】

 従来の本人確認(有人の受付窓口)とeKYC(無人のデジタルゲート)の違いのイメージ図

「eKYCがスマホで本人確認することなら、昔からある免許証のコピーの郵送などと本質的に何が違うの?」と疑問に思うかもしれません。

最大のメリットは、手続きが「有人の受付窓口から、24時間稼働する無人のデジタルゲートに変わること」です。

オフィスビルに入る場面を想像してみてください。

これまでのKYC(郵送や対面の本人確認)は、ビルの1階にある「有人の受付窓口」に並ぶようなものです。

警備員に運転免許証を渡し、顔を見比べられ、コピーを取られます。

警備員がいない夜間は入れませんし、人が目視で確認するためどうしても手続きに数日間の待ち時間が発生してしまいます。

一方、eKYCは「無人のデジタルセキュリティゲート」です。

わざわざ受付の列に並ぶ必要はなく、手元のスマートフォンがそのままゲートの役割を果たします。

スマホのカメラを使って自分の顔と身分証を照合することで、深夜でも早朝でも一瞬で「本人の確認」が完了し、すぐにサービス(ビルの中)を利用できるようになります。

企業側から見ても、これまでは「届いたコピーを人間が1枚ずつ確認する」という膨大な手間(受付の警備員)がかかっていましたが、eKYCの導入により、その時間とコストを大幅に削減できるという決定的な違いがあります。

【現場のあるある】なぜ今、急にeKYCが求められているのか?

2027年4月の犯収法改正により写真送信(ホ方式)が禁止され、ICチップ読み取りへ移行するタイムライン図

「便利になるのはわかるけれど、なぜ今になって色々な企業が急いでeKYCに変えようとしているのだろう?」と不思議に思いませんか。

実は、企業が急いでeKYCを導入している最大の理由は、「2027年の法改正によって、これまで一般的だった本人確認の手法が法律上使えなくなるから」です。

私たちが様々な企業様からご相談を受ける中で、最も多い誤解があります。

それは、「eKYCといえば、スマホで自分の顔と免許証の写真をカシャッと撮って送るアレですよね?」というものです。

確かに、これまではその「写真送信」が主流でした(これを専門用語で「ホ方式」と呼びます)。

しかし、近年はスマホアプリでの画像加工技術などが進歩し、他人の顔写真を悪用した偽造免許証による詐欺などが急増してしまいました。

これに対抗するため、国はルールを厳格化し、2027年4月をもってこの「ただ写真を送るだけの確認」を完全に禁止すると決定したのです。

つまり、多くの企業は「お客様が便利になるからeKYCを入れる」という段階をすでに通り越し、「法律違反にならないために、急いで新しいルールのシステムに作り変えなければならない」という切実な事情を抱えているのです。

eKYCで「写真を送る」のはもう古い?最新のICチップ読み取りとは

eKYCの最新方式である公的個人認証(ヌ方式)とICチップ読み取り(ハ方式)の仕組みと課題の比較図

「ただ写真を送るのがダメなら、これからのeKYCはどうやって本人確認をするの?」と不安に思うかもしれません。

これからの主流は、「マイナンバーカードなどの『ICチップ』をスマホにかざして読み取る方式」です。

先ほどのビルのセキュリティゲートの例えで考えてみましょう。 これまでは、スマホで撮った顔写真付きの入門証を警備員にメールで送って、目視で開けてもらう方法でした。

これからは、偽造が不可能な「電子的なICカード」をゲートに直接ピッとタッチし、さらにその場で顔パス(自撮り撮影)をするようなイメージに変わります。

現在、法律に対応した新しい仕組みとして、大きく分けて以下の2つへの移行が進んでいます。

1つ目が、マイナンバーカードのICチップと暗証番号を使う「公的個人認証(ヌ方式)」です。

国のお墨付きのデータを使うため、最も安全で、企業側も完全に自動化しやすい方法です。

2つ目が、運転免許証などのICチップ情報を読み取り、その場で自撮りした自分の顔と照合する「ICチップ読み取り(ハ方式)」です。

「それなら、一番安全な公的個人認証のシステムを作ろう!」と考える企業様は非常に多いです。

しかし、私たちが開発の現場で直面する最大の壁は、「ユーザーが暗証番号を忘れてしまっている」という現実です。

手続きの途中で暗証番号がわからず、約30%〜50%ものお客様が手続きを諦めて離脱してしまうというジレンマが起きています。

安全性を高めるのは当然ですが、お客様が使いにくくて途中で離脱してしまっては本末転倒です。

Rabilooでは、このような離脱を防ぐための親切な操作画面(UI)の設計など、ビジネスとセキュリティを両立させるソフトウェア受託開発をサポートしています。

開発のご相談はこちらからお寄せください。

eKYCを突破する「ディープフェイク」と、それを防ぐ最新技術

eKYCのカメラを乗っ取るインジェクション攻撃と、スマホ画面の光で偽物を見破るフラッシュ判定技術の仕組み図

「ICチップを使うにしても、顔を自撮りするなら、他人の顔写真や動画を使えば簡単に騙せるのではないか?」と不安になりませんか。

その不安は的中しています。

これからの最大の脅威は、「AIで作った偽物の顔(ディープフェイク)や、カメラを乗っ取るハッキング(インジェクション攻撃)」です。

ディープフェイクとは、いわば「デジタル空間における完璧な変装」です。

AIを使って実在する別の人の顔を合成したり、まったく存在しない架空の人物の顔を作り出したりします。

さらに恐ろしいのが「インジェクション攻撃」です。

これはスパイ映画でよく見る、防犯カメラの配線を途中で切って「あらかじめ用意した偽の映像」を流し込む手口とまったく同じです。

いくらスマホのカメラに向かって手続きをしているように見えても、裏側で偽の動画データが直接流し込まれてしまうのです。

これらはもはや、人間の肉眼で「偽物だ」と見抜くことは不可能なレベルに達しています。

そこで企業は、こうしたサイバー攻撃を防ぐために「AIにはAIで対抗する」最新技術を組み込んでいます。

例えば、「フラッシュ判定」という技術があります。

自撮りをする瞬間にスマホの画面を一瞬だけ様々な色で光らせて、顔の表面にどう光が反射するかを分析します。

画面に映したただの平面の顔写真や、奥行きのない偽物のAI動画であれば、光の反射が人間の肌とは異なるため一瞬で見破ることができます。

詐欺の手口は日々進化しており、eKYCのシステムも一度作って終わりではありません。

常に最新の脅威に対応し続けるための専門知識が必要になります。

Rabilooでは、最新のセキュリティとAI技術を組み合わせたAIソリューション・コンサルティングを通じて、企業の安全なデジタル化を支援しています。

eKYCに関するよくある質問(FAQ)

Q1. eKYCはどんなサービスで使われていますか?

A. 銀行口座や証券口座の開設、クレジットカードの申し込み、スマートフォン決済アプリの登録、携帯電話の契約、フリマアプリでの本人確認など、幅広いサービスで利用されています。

Q2. eKYCで撮影した顔写真などのデータは安全に保管されますか?

A. はい、安全です。企業は法律(個人情報保護法や犯罪収益移転防止法)に基づき、暗号化などの厳重なセキュリティ対策を行ってデータを管理する義務があります。

Q3. マイナンバーカードを持っていなくてもeKYCはできますか?

A. マイナンバーカードのICチップ読み取り(ヌ方式)は利用できませんが、ICチップ付きの運転免許証など、別の書類を使った確認方法(ハ方式)を用意している企業が多いです。

Q4. 2027年の法改正で、利用者の私たちは何か手続きが変わりますか?

A. スマホで身分証の写真を「撮影して送る」というこれまでの方法がなくなり、スマホにカードを「ピッとタッチして読み取らせる」方法が主流になります。

Q5. パソコンでもeKYCの手続きはできますか?

A. ICチップの読み取りや専用のカメラ撮影が必要な場合が多いため、基本的にはNFC(読み取り機能)が付いたスマートフォンでの手続きが推奨されます。

まとめ:ポスト「ホ方式」時代のeKYC戦略と次へのステップ

eKYCは、単なる「面倒な手続きをスマホで済ませるためのアプリ」ではありません。

その本質は、私たち自身と企業のサービスを、なりすましや詐欺から守るための「24時間稼働の無人のデジタルゲート」です。

そして、ディープフェイクのようなデジタル犯罪の進化に合わせて、そのゲート自体も「写真送信」から「ICチップ読み取りとAI判定」へと、常にアップデートされ続けています。

2027年4月のルール変更(ホ方式の廃止)は、企業にとってシステムの作り直しを迫られる大きな試練です。しかし同時に、より強固なセキュリティと、ユーザーが離脱しないスムーズな操作画面(UI)を作り上げるチャンスでもあります。

【次のステップ】 法改正に適合したeKYCの導入や、AIを活用した最新のセキュリティシステムへの刷新をご検討中の企業様は、ぜひRabilooのコンサルティングチームへお気軽にご相談ください。

システムの裏側の安全から、お客様が触れる画面の使いやすさまで、トータルでサポートいたします。

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Kakimoto Kota
Rabilooのオウンドメディアで制作ディレクターを担当。日越翻訳、記事、動画、SNS、コンテンツの戦略立案から制作まで行う。2015年よりベトナム・ハノイ在住

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