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「APIを叩く」「ChatGPT APIを叩いて…」
エンジニアや開発関係者と話していると、こんな表現を耳にすることがあります。
「APIって何?」
「叩くって何を叩くの?」
「IT用語で『叩く』とはどういう意味?」
このような素朴な疑問を持ったことがありませんか?
結論から言うと、「APIを叩く」とは、外部のシステムに対してAPIを通じて命令を送り、その機能を呼び出すことです。
実は、私たちが普段使っているスマホアプリやWebサービスの多くは、「APIを叩いて」成り立っています。例えば、天気アプリで最新の天気予報を表示したり、地図アプリで現在地を表示したりするのも、すべてAPIを叩いているからこそ実現できているのです。
そこでこの記事では、ビジネスパーソンが一般教養として知っておきたい「APIを叩く」と言う概念について、さらに詳しく説明していきたいと思います。
APIとは何か、なぜ必要なのか
「APIを叩く」という表現の意味と語源
英語で「APIを叩く」は何と表現するのか
私たちの身の回りでAPIが使われている具体例
ChatGPT APIとWebサイト版の違いとメリット
API連携・AI活用でお困りの方へ
Rabiloo(ラビロー)では、お客様の課題に合わせたAPI連携・AI活用システムの開発を一気通貫で支援しています。
ChatGPT APIを活用したAIエージェント開発
既存システムとの連携設計・構築
業務自動化ワークフローの設計
セキュリティを重視した実装
運用開始後の継続サポート
「自社でもAPIを活用して業務を効率化したい」「生成AIを業務に取り入れたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
無料相談はこちらから →まず「API」という言葉自体に馴染みのない方も多いでしょう。専門用語のように聞こえますが、実は私たちが日常的に使っているスマホアプリやWebサービスの裏側では、必ずと言っていいほどAPIが活用されています。
APIは「Application Programming Interface=アプリケーション・プログラミング・インターフェース」の略語です。「インターフェース」とは「接点」や「窓口」といった意味で、つまりAPIは、機能を拡張させるためにソフトウェアやプログラム同士をつなぐ窓口のことを指します。
簡単に言うと、APIとは「他の会社やサービスが作った便利な機能を、自分のシステムやアプリで使えるようにする仕組み」です。
例えば、あなたがスマホで天気アプリを開いたとき、そのアプリ自体が気象データを持っているわけではありません。実は、気象庁や気象データを提供している会社の「API」を使って、最新の天気情報を取得しているのです。
同様に、ショッピングサイトでクレジットカード決済をするときも、そのサイトが直接カード会社とやり取りしているわけではなく、決済代行会社のAPIを使って処理しています。
つまり、APIは「必要な機能を借りて使う」ための窓口のような役割を果たしているのです。
現在よく使われているAPIの多くは、インターネットを通じて利用できる「Web API」と呼ばれるものです。
Web APIは、Webサイトと同じ仕組み(=HTTPという通信ルール)を使って、サービス同士で情報をやりとりします。
たとえば、アプリが「この情報をください」とリクエストを送り、サーバーが「これが結果です」と返してくる、というやり取りです。
やりとりされるデータは、人にも読みやすい形式(JSONやXML)で表現されるのが一般的です。
なお、Web API以外にも、アプリ内だけで動作するAPI(OSの機能を呼び出すものや、ソフトウェア間で直接やり取りするもの)もありますが、
現在のビジネスやサービス開発では、インターネット経由で使えるWeb APIが主流になっています。
APIは、特定の要求(例えば、データの取得、更新、削除など)を送信すると、応答としてデータを返します。これをエンジニアの表現で「APIを叩く」と言います。
APIの仕組みを理解するために、レストランでの注文に例えてみましょう。
レストランでの注文の流れ:
メニューを見る(何が注文できるかを確認)
ウェイターに注文する(欲しい料理を伝える)
キッチンで料理が作られる(注文が処理される)
料理が運ばれてくる(結果が返される)
APIの仕組み:
API仕様書を見る(どんな機能が使えるかを確認)
APIにリクエストを送る(使いたい機能を指定)
サーバーで処理が実行される(要求された処理が行われる)
レスポンスが返される(処理結果やデータが返される)
レストランでメニューにない料理は注文できないように、APIでも仕様書に書かれていない機能は使えません。また、注文が間違っていたり、品切れだったりすると「申し訳ございません」と言われるように、APIでもエラーメッセージが返されることがあります。
この「注文→処理→提供」という流れこそが、APIの基本的な仕組みです。
また重要なのは、APIは「機能だけを貸し出す仕組み」だということです。Googleは地図の作り方や技術的なノウハウを教えてくれるわけではありません。「地図を表示する」という結果だけを提供してくれます。
これは、レストランで料理を注文するのと似ています。お客様は美味しい料理を食べることができますが、レシピや調理方法は教えてもらえません。レストラン側は、企業秘密であるレシピを守りながら、サービス(料理)だけを提供できるのです。
このように、APIは「企業が自社の技術を守りながら、便利な機能を他社に提供できる仕組み」なのです。
もしAPIを一切使わないならどうなるでしょうか?
例えば、あなたが新しいECサイトを作ろうとした場合:
決済システム:クレジットカード、PayPay、銀行振込のすべてを自分で開発
地図機能:全国の道路や建物の情報を自分で収集・整備
配送システム:全国の配送業者との契約と連携システムを独自開発
メール送信:メール配信サーバーの構築と運用
ログイン認証:セキュリティ対策を含む認証システムの開発
これらすべてを一から作るとなると、膨大な時間とコストがかかります。おそらく何年もかかって、数億円の開発費用が必要になるでしょう。
しかし、APIを使うことで、他の会社が作った便利な機能を、自分のアプリやシステムで利用できます。
決済:Stripeや楽天ペイのAPIを使用
地図:GoogleマップAPIを使用
配送:ヤマト運輸や佐川急便のAPIを使用
メール:SendGridやAmazon SESのAPIを使用
認証:GoogleやFacebookのAPIを使用
このように、既存のサービスのAPIを組み合わせることで、短期間かつ低コストでサービスを構築できるのです。
APIを利用すれば、一からプログラムを作る必要がなくなるため、短期間でのシステム開発、機能追加が可能になります。これこそが、現代のデジタルビジネスにおいてAPIが欠かせない理由なのです。
ここまででAPIの基本的な仕組みを理解いただけたと思います。では、なぜエンジニアは「APIを叩く」という独特な表現を使うのでしょうか。この表現の意味と由来について詳しく見ていきましょう。
プログラミングの世界で「叩く」とは、「呼び出す」「アクセスする」「実行する」という意味で使われます。
APIエンドポイントにリクエストを送信してレスポンスを取得するということは、たくさんの言い換えがあります。例えば、APIの投げ方、APIの叩き方などがあります。
つまり「APIを叩く」とは、以下のような動作を指します:
APIに対してリクエスト(要求)を送信する
外部のサービスや機能を呼び出す
システム同士でデータのやり取りを行う
他のプログラムの機能を実行する
先ほどのレストランの例で言えば、「注文をする」行為そのものが「APIを叩く」に相当します。メニューを見て、ウェイターに「カレーライスを一つお願いします」と伝える瞬間が、まさに「APIを叩いている」状態なのです。
では、APIはなぜ「叩く」という表現を使うのでしょうか。
この「叩く」という表現の語源には諸説ありますが、最も有力な説は以下の通りです:
コンピュータの物理的な操作から派生した説 :昔のコンピュータやネットワーク機器では、動作しない時に筐体を軽く叩いて動かすことがありました。また、キーボードを「叩く」という表現から、「システムに何かを働きかける」という意味で使われるようになったとされています。
ドアを叩くという動作からの連想説 :「ドアを叩く(ノックする)」ように、外部のシステムに「こんにちは、使わせてください」と合図を送る動作に似ていることから、この表現が生まれたという説もあります。
ネットワーク用語「ping」からの派生説 :ネットワークの疎通確認で使う「ping」というコマンドも、「叩く」「突く」という意味があり、そこから転じてAPI呼び出しも「叩く」と表現されるようになったという説もあります。
いずれにしても、「何かに働きかける」「アクションを起こす」という能動的な行為を表現するために「叩く」という言葉が定着したと考えられます。
英語での表現 英語では「APIを叩く」を以下のように表現します:
Call API(APIを呼び出す)- 最も一般的
Hit API(APIをヒットする)- カジュアルな表現
Invoke API(APIを起動する)- やや堅い表現
Access API(APIにアクセスする)
Make API request(APIリクエストを作成する)
日本語での言い換え表現 「APIを叩く」の日本語での言い換えには以下があります:
APIを呼び出す
APIにアクセスする
APIを実行する
APIを利用する
APIに接続する
APIからデータを取得する
APIとやり取りする
ビジネスの場では「APIを叩く」よりも「APIを呼び出す」や「APIを利用する」という表現の方が理解されやすい場合があります。相手のITリテラシーに合わせて使い分けることが大切です。
IT業界では「叩く」という表現が当たり前に使われているため、エンジニアとの会話では積極的に使っても問題ありませんが、非エンジニアの方には「呼び出す」や「利用する」と言い換えた方が親切でしょう。
APIはこれといって特別な技術ではありません。実は、私たちが毎日使っているスマホやWebサービスの多くで、当たり前のようにAPIが活用されています。具体的にどのような場面でAPIが使われているのか見てみましょう。
天気アプリ iPhoneの標準天気アプリやYahoo!天気アプリを開くと、即座に最新の天気情報が表示されます。これらのアプリは気象庁や民間の気象会社のAPIを叩いて、リアルタイムの気象データを取得しています。
地図・ナビアプリ Google MapsやApple Maps、Yahoo!マップなどは、GPS情報や交通情報、店舗情報など複数のAPIを組み合わせて動作しています。現在地の取得、ルート検索、交通渋滞情報の表示、すべてがAPIによって実現されています。
SNSアプリ X(旧Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNSアプリでも、APIが大活躍しています:
写真投稿時の位置情報取得(地図API)
友達の連絡先との照合(連絡先API)
他のアプリからの写真シェア(共有API)
プッシュ通知の送信(通知API)
フードデリバリーアプリ Uber Eatsや出前館などでは、以下のAPIが連携して動作しています:
位置情報の取得(GPS API)
店舗情報の表示(店舗データベースAPI)
決済処理(決済代行API)
配達状況の追跡(物流API)
プッシュ通知(通知API)
ソーシャルログイン 「Googleでログイン」「Facebookでログイン」「LINEでログイン」などのボタンを見たことがあるでしょう。これらはすべてAPIを叩いて実現されています。各サービスの認証APIを利用することで、新しいアカウント作成の手間が省けます。
オンライン決済 ECサイトでクレジットカードやPayPay、楽天Payなどで支払いをする際も、決済代行会社のAPIが活用されています:
Stripe API(クレジットカード決済)
PayPal API(PayPal決済)
楽天ペイ API(楽天ペイ決済)
PayPay API(PayPay決済)
地図の埋め込み表示 企業のWebサイトで「アクセス」ページに地図が表示されているのを見たことがあるでしょう。これらの多くはGoogle Maps APIを叩いて実現されています。自社で地図データを持つ必要がなく、常に最新の地図情報を表示できます。
お問い合わせフォーム Webサイトのお問い合わせフォームから送信されたメールも、多くの場合メール送信APIを利用しています:
SendGrid API
Amazon SES API
Gmail API
チャットボット 最近よく見かけるWebサイトの右下に表示されるチャットボットも、ChatGPT APIやその他の対話APIを叩いて応答を生成しています。
スマホの写真アプリ 写真を撮影した際の自動補正や、人物・物体の自動認識機能は、AIの画像認識APIを利用していることが多くあります。
音楽ストリーミングサービス SpotifyやApple Musicで楽曲を再生する際も、以下のAPIが連携しています:
楽曲データベースAPI
ユーザー認証API
決済API
レコメンドエンジンAPI
銀行アプリ 銀行のモバイルアプリでは、以下のAPIが活用されています:
残高照会API
振込API
ATM検索API(位置情報API連携)
セキュリティ認証API
乗換案内アプリ Yahoo!乗換案内やジョルダンなどの乗換案内アプリは、以下のAPIを組み合わせています:
鉄道会社の運行情報API
時刻表データAPI
遅延情報API
位置情報API
ニュースアプリ NewsPicksやSmartNewsなどのニュースアプリでは:
各メディアのニュース配信API
ソーシャルログインAPI
プッシュ通知API
広告配信API
これらの例を見ると分かるように、私たちが「便利だな」と感じているサービスの裏側では、必ずといっていいほどAPIが活用されています。APIがあるからこそ、各企業は自社の得意分野に集中し、他の機能は専門企業のAPIを借りることで、高品質なサービスを効率的に提供できているのです。
もしAPIがなければ、これらのサービスを一から作る必要があり、開発期間は何倍にもなり、サービスの質も下がってしまうでしょう。APIは現代のデジタルサービスを支える重要なインフラと言えるのです。
一般的に「ChatGPTを使う」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、Webサイトやアプリでチャット画面を開き、AIと会話するスタイルではないでしょうか。実は、ChatGPTにはWebサイトやアプリ版の他に「API版」も存在します。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
WebサイトのChatGPT
普段私たちが使っているのは、OpenAIのWebサイト(chat.openai.com)にアクセスして利用するChatGPTです。これは以下のような特徴があります:
Webブラウザで直接アクセスして利用
チャット形式での対話インターフェース
月額20ドル(約3,000円)の定額制(GPT-4oを利用可能)
個人利用に最適化された設計
対話履歴の保存機能あり
ChatGPT API
一方、ChatGPT APIは開発者や企業が自社のシステムに組み込むためのサービスです:
プログラムから呼び出して利用
自社のアプリやWebサイトに組み込み可能
使用量に応じた従量課金制(GPT-4oを利用可能)
カスタマイズや自動化に対応
システム連携に最適化された設計
例えて言うなら、WebサイトのChatGPTは「専用のレストランで食事する」ことで、ChatGPT APIは「レストランの料理をテイクアウトして、自宅で自分好みにアレンジして食べる」ことに似ています。
ChatGPT APIを利用することで、以下のようなことが可能になります:
自社Webサイトへの組み込み
顧客サポートチャットボットとして活用
FAQ自動応答システムの構築
商品説明文の自動生成
ブログ記事の下書き作成支援
業務システムとの連携
CRMシステムと連携した顧客対応の自動化
Slackボットとして社内Q&Aに活用
Excelデータの分析結果をAIが解説
メール自動返信システム
モバイルアプリへの統合
自社アプリ内でのAIアシスタント機能
写真の内容をAIが説明する機能
音声入力をテキスト化してAIが応答
具体的な活用例:
ECサイトのカスタマーサポート
顧客: 「このジャケットのサイズ感を教えて」
API連携ボット: 「こちらのジャケットは通常より少し大きめの作りです。普段MサイズでしたらこちらもMサイズがおすすめです。」
社内のSlackボット
社員: 「来月の売上目標は?」
API連携ボット: 「CRMシステムを確認したところ、来月の売上目標は1,200万円です。現在の進捗は60%となっています。」
不動産サイトの物件説明
API連携システム: 物件データを読み込み
→ ChatGPT APIで魅力的な物件説明文を自動生成
→ Webサイトに自動掲載
料金体系の比較
プラン | 料金体系 | 特徴 |
---|---|---|
ChatGPT Plus(Webサイト版) | 月額20ドル(約3,000円)の定額制 | 1日あたりの利用制限あり(通常利用なら十分)/個人利用なら予算が立てやすい |
ChatGPT API(GPT-4o) | 使用量に応じた従量課金制 | 入力1,000トークンあたり0.005ドル、出力1,000トークンあたり0.015ドル |
トークン数 = おおよそ文字数の1.5倍程度
コスト比較の具体例
月間5,000回の質問(1回あたり平均100文字の質問、200文字の回答)の場合:
API利用の場合
入力:5,000回 × 150トークン × $0.005/1,000トークン = 約$3.75
出力:5,000回 × 300トークン × $0.015/1,000トークン = 約$22.5
合計:約$26.25(約4,100円)
Plus利用の場合
月額$20(約3,000円)
この例では、API利用の方がやや高くなりますが、利用頻度や長文のやりとりによっては逆転する可能性もあります。
使い分けの基準
Webサイト版がおすすめな場合:
個人利用や少量利用
対話形式でじっくり考えたい
月間の利用量が予測しにくい
開発コストをかけたくない
API版がおすすめな場合:
自社システムに組み込みたい
大量の自動処理を行いたい
顧客向けサービスとして提供したい
他のシステムとの連携が必要
カスタマイズが必要
実際の判断ポイント:
利用頻度: 月間1万回以上ならAPIが有利な場合が多い
自動化の必要性: 人間の操作なしで動かしたいならAPI必須
カスタマイズ性: 独自の機能追加が必要ならAPI
開発リソース: エンジニアがいない場合はWebサイト版が現実的
企業での利用を検討している場合は、まずWebサイト版で使い勝手を確認し、本格導入時にAPIを検討するという段階的なアプローチがおすすめです。また、APIを導入する場合は、予想外の高額請求を避けるため、必ず利用上限の設定をしておくことが重要です。
APIは理論だけでなく、実際のビジネスシーンで大きな効果を発揮します。ここでは、企業が実際にAPIを活用してDXに取り組んでいる具体的な事例を紹介します。これらの例を参考に、自社でのAPI活用を検討してみてください。
従来の課題
お客様からの問い合わせ対応に人的リソースが集中
営業時間外の対応ができない
同じような質問への繰り返し対応
対応品質が担当者によってバラつく
API活用による解決策 ChatGPT APIやその他のAI APIを活用したAIエージェントで、以下を実現:
FAQ自動応答システム
顧客: 「返品の手続きを教えてください」
AIエージェント: 「商品到着から14日以内でしたら返品可能です。
お客様マイページの『返品申請』からお手続きください。
詳しくは返品ガイドをご確認ください。」
商品案内の自動化
顧客: 「予算5万円でおすすめのパソコンは?」
AIエージェント: 「ご予算に合わせて3つの候補をご提案します。
用途をお聞かせください(文書作成・動画編集・ゲームなど)」
高度なAIエージェントの活用例 複数のAPIを組み合わせることで、より高度なAIエージェントを構築:
顧客の質問
↓ (ChatGPT API)
質問内容を分析・分類
↓ (CRM API)
顧客情報を自動取得
↓ (在庫管理API)
商品在庫状況を確認
↓ (AIエージェントが総合判断)
最適な回答を生成・提供
実際の効果
対応時間の50%削減
24時間365日の顧客サポート実現
人的リソースをより複雑な問い合わせに集中
顧客満足度の向上
従来の課題
営業データの入力作業に時間がかかる
Excel、CRM、チャットツールでデータが分散
リアルタイムでの情報共有ができない
手作業によるデータ転記ミス
API活用による解決策 複数のシステムAPIを連携させて営業プロセスを自動化:
1. 商談情報の自動連携
Salesforce API ⇔ Slack API ⇔ Gmail API
新規商談がSalesforceに登録
↓ (Salesforce API)
Slackの営業チャンネルに自動通知
↓ (Slack API)
関係者にメール通知を自動送信
↓ (Gmail API)
2. 営業AIエージェントによる日報作成
Google Calendar API + Google Sheets API + ChatGPT API
カレンダーから商談履歴を取得
↓ (Google Calendar API)
スプレッドシートにデータを整理
↓ (Google Sheets API)
AIエージェントが日報を自動生成
↓ (ChatGPT API)
3. 見込み客の自動フォロー
Webサイトで資料ダウンロード
↓ (フォームAPI)
CRMに自動登録
↓ (CRM API)
メール配信システムで自動フォロー
↓ (メール API)
実際の効果
データ入力作業の70%削減
営業活動の見える化
機会損失の防止
営業チーム全体の生産性向上
従来の課題
注文処理から発送まで手作業が多い
在庫管理とECサイトの情報が連動していない
配送状況の確認に時間がかかる
決済エラーの対応が複雑
API活用による解決策 ECサイト運営の全プロセスをAPI連携で自動化:
1. 決済から在庫管理まで
顧客がオンラインで商品購入
↓ (決済API - Stripe/PayPay)
決済完了後、在庫システムから自動減算
↓ (在庫管理API)
倉庫に出荷指示を自動送信
↓ (倉庫管理API)
2. 配送連携システム
出荷完了後、配送業者のAPIと連携
↓ (ヤマト運輸API/佐川急便API)
追跡番号を顧客に自動通知
↓ (メール/SMS API)
配送状況をリアルタイムで顧客に提供
↓ (配送追跡API)
3. 在庫切れ対応の自動化
在庫が閾値を下回った場合
↓ (在庫監視API)
仕入先に自動発注
↓ (発注システムAPI)
入荷予定を顧客に自動通知
↓ (通知API)
実際の効果
注文処理時間の80%短縮
ヒューマンエラーの大幅削減
顧客満足度の向上
運営コストの削減
従来の課題
勤怠管理、経費精算、スケジュール調整が個別システム
月末の集計作業に膨大な時間
承認フローが複雑で時間がかかる
データの転記ミスが発生
API活用による解決策 社内業務をワンストップで自動化:
1. 勤怠・経費・給与の連携
勤怠データ (タイムカードAPI)
↓
経費データ (経費精算API)
↓
給与計算システム (給与API)
↓
自動で給与明細を生成・配信
2. 会議室予約とスケジュール連携
Google Calendar APIでスケジュール確認
↓
空いている会議室を自動検索 (会議室API)
↓
会議室を自動予約
↓
参加者にSlackで自動通知 (Slack API)
3. 経費精算の自動化
レシート撮影 (OCR API)
↓
経費項目を自動分類 (AI API)
↓
承認ワークフローに自動申請 (ワークフローAPI)
↓
承認完了後、会計システムに自動反映 (会計API)
4. 人事評価AIエージェントの活用
各システムから業績データを自動収集
↓ (CRM API、プロジェクト管理API)
AIエージェントが評価コメントの下書き作成
↓ (ChatGPT API)
評価者に通知・確認依頼
↓ (メール API)
実際の効果
月末作業時間の60%削減
経費精算の処理時間短縮
人事担当者の業務効率化
データの正確性向上
これらの事例を見ると、APIを活用することで「人がやらなくても良い作業」を大幅に削減し、より創造的で付加価値の高い業務に集中できることがわかります。特に、複数のAPIを組み合わせたAIエージェントの活用により、従来は人間が行っていた判断業務も自動化できるようになってきています。
重要なのは、いきなり大規模なシステムを構築するのではなく、小さな業務から始めて段階的にAPI活用の範囲を広げていくことです。また、APIを活用した業務自動化は一度構築すれば継続的に効果を発揮するため、初期投資を回収した後は大きなコスト削減効果を期待できます。
「APIを叩くって難しそう…」「プログラミングができないと無理なのでは?」
そんな風に思われる方も多いでしょう。実は、APIを活用する方法は大きく分けて2つあり、技術知識がない方でも始められる方法があります。レベル別にAPIを叩く方法を見ていきましょう。
ノーコードツールとは?
ノーコードツールとは、プログラミングの知識がなくても、マウス操作だけでシステム連携やアプリ開発ができるツールのことです。画面上でブロックを組み立てるように設定できるため、非エンジニアでも業務自動化を実現できます。
主要なノーコード連携ツール(2025年時点)
世界中で広く利用されているノーコード連携ツール
6,000以上のアプリとAPIに対応
日本語インターフェースやテンプレートも充実
条件分岐や複雑なワークフローも構築可能
月額約2,500円〜(無料プランあり)
複雑なロジックや分岐処理が得意な自動化ツール
ビジュアルでフローを構築可能
AI系API(ChatGPT、Geminiなど)にも対応
月額約1,200円〜利用可能
※2025年時点でX(旧Twitter)との連携は廃止済み
オープンソース型の自動化ツールで、自由度が高い
セルフホストにも対応しており、セキュリティに配慮できる
無料プランがありつつ、商用運用にも耐えうる機能を備える
約350以上のサービス・APIに対応
最新版ではChatGPT APIを含む多くのAI連携機能が強化
ツールごとの特徴比較(2025年版)
ツール | 対応サービス数 | 強み | 価格帯 |
---|---|---|---|
Zapier | 6,000以上 | 初心者向け、テンプレート豊富 | 無料〜月額2,500円〜 |
Make | 数百種以上 | 複雑な処理に強い、細かい制御 | 無料〜月額1,200円〜 |
n8n | 約350以上 | オープンソース、セルフホスト可 | 無料〜商用向けクラウド有料 |
ノーコードツールを使ったAPI連携の例
例1:問い合わせ自動応答システム(Zapier または n8n)
[メール受信] → [ChatGPT APIによる回答生成] → [自動返信メール] → [社内通知]
例2:売上データ集計とレポート送信(Make または n8n)
[スケジュール実行] → [Shopify APIで売上取得] → [Google Sheetsに記録] → [ChatGPT APIで要約生成] → [Slack通知]
例3:SNS投稿の自動化(Zapier または Make)
[RSS Feedで新着記事検知] → [ChatGPT APIでSNS文作成] → [SNS複数投稿(例:Facebook, LinkedIn)]
ノーコードツール利用時の注意点
APIの使用量に応じて追加課金が発生することがある
外部サービス連携ではセキュリティ設定の確認が必要
処理が複雑化すると視認性・保守性に課題が出ることもある
各サービスで対応APIや制限事項が異なるため事前確認が重要
ノーコードツールで対応できない場合や、より高度なカスタマイズが必要な場合は、エンジニアに開発を依頼することになります。
開発依頼が必要なケース
独自ロジックやUIが必要な場合
高速かつ大量のデータ処理が求められる場合
業務基幹システムとの連携が必要な場合
高度なセキュリティ基準への対応が必要な場合
依頼前の準備事項
1. 要件の明確化
例:
- 複数サービスからデータを自動収集
- 自動レポートを週次で生成してメール送付
- エラー発生時にはSlack通知
2. 予算と期間の設定
初期開発費用:50万〜300万円
開発期間:1〜6ヶ月程度
運用費用:API利用料 + 保守費用(月額数万円〜)
3. セキュリティ要件の整理
認証方式(APIキー・OAuthなど)
ログ取得と監査対応
バックアップ要件・運用監視
API関連
エンドポイント、リクエスト/レスポンス、認証、レート制限など
開発プロセス
要件定義 → 設計 → 実装 → テスト → デプロイ → 保守
確認すべき仕様
利用制限、障害時の対処、仕様変更時の対応可否
メンテナンス体制・ログ管理・通知設計
開発会社選びのポイント
類似事例の実績
APIやセキュリティの知見
コミュニケーション体制
保守・運用の実績
契約時の注意点
開発範囲と成果物の明確化
追加費用の取り決め
ソースコードや知的財産の帰属
保守対応範囲と期間
Rabilooでのサポート例
弊社では、以下のようなサポートを提供しています:
ChatGPTや各種外部APIを活用した業務自動化の設計・開発
ノーコードとカスタム開発の併用による柔軟な導入支援
セキュリティを意識した設計・テスト体制
導入後の継続的な運用・最適化支援
APIの活用は、ビジネス効率化の強力な武器になります。ノーコードから始め、必要に応じてカスタム開発にスケールするという柔軟なアプローチが、成功への近道です。
APIを活用した業務効率化は魅力的ですが、導入前に知っておくべき注意点やリスクがあります。また、多くの企業が同じような疑問を抱えています。ここでは実際によく寄せられる質問と併せて、API活用時の重要なポイントを解説します。
API利用料金の仕組み 多くのAPIは「従量課金制」を採用しており、使った分だけ料金が発生します。予想以上に高額な請求が来ることを避けるため、料金体系を正しく理解しておくことが重要です。
主要APIの料金例
ChatGPT API(GPT-4)
入力:1,000トークンあたり約$0.03(約4.5円)
出力:1,000トークンあたり約$0.06(約9円)
1トークン ≒ 0.75文字程度
Google Maps API
地図表示:1,000リクエストあたり$7(約1,050円)
月間28,000リクエストまで無料枠あり
Stripe決済API
国内カード決済:3.6%の手数料
APIの呼び出し自体は無料
料金をコントロールする方法
1. 利用上限の設定
ChatGPT APIの場合:
- OpenAIの管理画面で月額予算上限を設定
- 例:月額$100(約15,000円)で設定
- 上限に達すると自動的にAPI停止
2. 監視・アラート設定
Google Cloud/AWS/Azureの場合:
- 予算アラート機能を活用
- 使用量が70%、90%到達時にメール通知
- 異常な使用量を早期発見
3. キャッシュ機能の活用
同じ質問への回答はキャッシュして再利用
例:天気API
- 1時間以内の同じ地域の天気問い合わせは
キャッシュデータを使用
- API呼び出し回数を大幅削減
コスト管理のベストプラクティス
本格運用前に必ず小規模テストを実施
月次使用量レポートを定期的にチェック
不要なAPI呼び出しを削減する仕組みを構築
複数のAPIプロバイダーで価格比較
API利用におけるセキュリティリスク
1. APIキーの漏洩リスク APIキーは銀行口座の暗証番号のようなもので、漏洩すると第三者に不正利用される可能性があります。
対策方法:
- APIキーをソースコードに直接記載しない
- 環境変数や設定ファイルで管理
- 定期的なAPIキーの更新
- 権限を最小限に制限
2. データ送信時の情報漏洩 APIでデータを送信する際、個人情報や機密情報が外部サーバーに送られるリスクがあります。
対策方法:
- HTTPS通信の必須化
- 個人情報の匿名化・仮名化
- データの暗号化
- 送信データの最小化
3. 不正アクセスのリスク 認証が甘いAPIは第三者による不正アクセスのリスクがあります。
対策方法:
- OAuth 2.0などの標準認証プロトコル使用
- IPアドレス制限の設定
- アクセスログの監視
- 異常なアクセスパターンの検知
セキュリティ強化のためのチェックリスト
APIキーは安全に管理されているか
送信データに個人情報は含まれていないか
通信は暗号化されているか
アクセス権限は適切に設定されているか
ログの取得・監視体制は整っているか
定期的なセキュリティ監査を実施しているか
A: 基本的には必要ありません。ZapierやMake、n8nなどのノーコードツールを使えば、特別なソフトをインストールせずにWebブラウザだけでAPI連携ができます。本格的な開発が必要な場合は、エンジニアに依頼することになります。
A: はい、多くのAPIサービスで無料枠や無料トライアルが提供されています。例えば:
ChatGPT API:初回登録時に無料クレジット付与
Google Maps API:月間28,000リクエストまで無料
Slack API:基本機能は無料で利用可能
A: 以下のような場合にAPIが使えなくなる可能性があります:
サービス提供者のメンテナンス
利用制限の超過
料金の未払い
サービス仕様の変更・終了 対策として、複数のAPIプロバイダーを併用したり、障害発生時の代替手段を用意しておくことが重要です。
A: 適切なセキュリティ対策を取れば、情報漏洩のリスクは最小限に抑えられます。重要なのは:
信頼できるAPIプロバイダーを選ぶ
個人情報は送信しない設計にする
暗号化通信(HTTPS)を使用する
アクセス権限を適切に設定する
A: 以下の対応策があります:
利用上限設定によって自動停止
より安価なAPIプロバイダーへの切り替え
API呼び出し回数を削減する設計変更
キャッシュ機能の活用による効率化
A: 英語では以下のような表現を使います:
"Call API"(最も一般的)
"Hit API"(カジュアルな表現)
"Invoke API"(フォーマルな表現)
"Make API request"(技術的な表現)
A: IT業界では「叩く」は「アクセスする」「実行する」「呼び出す」という意味で使われます。この表現は、昔のコンピュータでキーボードを「叩く」動作や、ネットワークの疎通確認で使う「ping」(叩く・突く)から派生したとされています。
A: はい、むしろ小さな会社ほどAPI活用のメリットが大きい場合があります:
少ない人数で多くの業務を自動化
大企業と同等の機能を低コストで実現
専門システムを一から開発する必要がない
ノーコードツールなら数千円/月から始められる
A: 適切に設計されたシステムなら、保守負担は軽微です:
ノーコードツールは基本的にメンテナンスフリー
エラー監視とアラート設定で問題を早期発見
年に数回のAPIバージョン確認程度
問題発生時はエンジニアサポートを活用
A: APIは現代のIT基盤として不可欠な技術であり、今後もますます重要性が高まると予想されます:
クラウドサービスの普及でAPI利用が標準化
AIの発展でAPI経由のサービス利用が拡大
IoTや5Gの普及でAPI需要がさらに増加
国際標準化が進み、より安全・便利に
これらの注意点とFAQを参考に、自社に適したAPI活用を検討してみてください。不明な点があれば、専門家に相談することをおすすめします。
この記事では、「APIを叩く」という表現の意味から、実際のビジネス活用まで幅広く解説してきました。
APIを叩くとは、他のサービスの機能を自分のシステムで利用することです。レストランで注文するように、「何がほしいか」を伝えると、相手のシステムが処理して「結果」を返してくれる仕組みです。
私たちの身の回りでは、天気アプリ、地図アプリ、SNS、ECサイトなど、ほぼすべてのデジタルサービスでAPIが活用されています。これらのサービスが便利なのは、各社が得意分野に特化し、他の機能はAPIで借りているからです。
ビジネス活用では、問い合わせ対応の自動化、営業データの連携、ECサイトの運営効率化、社内業務の自動化など、様々な場面でAPIが業務効率化に貢献しています。特に、ChatGPT APIを活用したAIエージェントは、従来人間が行っていた判断業務も自動化できるようになってきています。
導入方法は、技術知識がなくてもn8nやZapierなどのノーコードツールで始められます。より高度なカスタマイズが必要な場合は、エンジニアに開発を依頼することも可能です。
注意点として、料金の従量制による予想外のコスト発生や、セキュリティリスクがあります。しかし、適切な上限設定や暗号化通信により、これらのリスクは十分に管理できます。
APIを活用することで、「人がやらなくても良い作業」を大幅に削減し、より創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。一度構築すれば継続的に効果を発揮するため、長期的なコスト削減効果も期待できます。
まずは小さな業務から始めて、段階的にAPI活用の範囲を広げていくことをおすすめします。「何のためにAPIを活用するのか」という目的を明確にすることが、成功への第一歩です。
Rabiloo(ラビロー)では、お客様の課題に合わせたAPI連携・AI活用システムの開発を一気通貫で支援しています。
ChatGPT APIを活用したAIエージェント開発
既存システムとの連携設計・構築
業務自動化ワークフローの設計
セキュリティを重視した実装
運用開始後の継続サポート
「自社でもAPIを活用して業務を効率化したい」「生成AIを業務に取り入れたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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