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アプリやシステム開発を海外のベンダーに委託する、オフショア開発を選択する企業が増えています。以前よりもオフショア開発に関する知見も共有されており、海外のオフショア企業も日本企業との案件を数多くこなしてきたため、サービスの質も向上しています。
とはいえ、言語も文化も違う海外でプロジェクトを進めるのはやはり抵抗がある、と思われるかもしれません。
そこでこの記事では、日本や欧米市場のオフショア開発案件を数多くこなしてきたベトナムベンダーである弊社Rabilooが、初めてのお客様とどのように案件を進めていくか、その流れをご紹介していきたいと思います。
オフショア開発の進め方について不安をお感じの担当者のお役に立てば幸いです。
オフショア開発も国内開発も実は進め方はほとんど同じです。ただ、オフショア開発で特殊なのが、「ラボ型開発」という選択肢があるという部分です。この点に関しては、記事の中でくわしく説明します。
弊社Rabilooが受注する基本的なオフショア開発の進め方は以下の通りです。
ベンダー選定(お客様に候補として選んでいただく)
↓
ヒアリングをしてお客様の要望をしっかり確認する
↓
要望に基づき、提案書と見積もりを作成
↓
お客様に提案書と見積もりを確認していただく
↓
OKなら、契約へ
↓
キックオフ 開発プロジェクト開始
↓
納品
↓
メンテナンス契約へ移行
弊社の案件のほとんどはこの流れに沿って進められます。
ではそれぞれ解説します。
まずオフショア開発ベンダーの候補を絞ることが最初のフェーズになります。ネット検索やマッチングサイト、または知人の紹介などを通してオフショア企業の情報を収集できます。
その際に、
オフショア開発国の特徴
日本企業との取引実績
発注する案件の分野で開発実績があるか
エンジニアのスキルセット
エンジニアの単価
日本語対応か英語対応か
担当者の対応
こういった点をチェックすると良いでしょう。
このようにある程度絞り込んだ上で、選定企業数が4〜5社あると、しっかり比較検討ができます。
▶︎オフショア開発の課題と問題点は?課題克服のヒントを徹底解説!
次は、弊社がベンダー候補の一つとしてお客様とヒアリングを行うフェーズになります。
実はヒアリングの段階で、お客様は、作りたいものがまだ明確に定まっていない場合もあります。その場合ベンダーにとって重要なのは、お客様の要望をしっかり聞き出して、本当のニーズを知ることです。
ここで、ベンダー側に提案力や認知能力が求められます。
要件が明確に定まっている場合でも、ベンダーはお客様に何度も質問をして見解の相違がないことを確かめます。
もし、要件が明確に定まっていない場合は、提案力のあるベンダーを選択することをお勧めします。ポイントは、ベンダーには自社開発のプロジェクトがあるか、同様の案件で開発実績があるかを見ると、開発会社としてのおおよそのレベルを判断できます。
また、この時の担当者との相性も重要です。ここで違和感を感じるなら、プロジェクト開始後もコミュニケーションの問題を抱えることになるからです。
ベンダーはヒアリングに基づいて提案書と見積書を提出します。
提案書には自分たちの要望が確実に反映されているでしょうか。また、見積もりの金額は妥当でしょうか。
安い見積もりは、非常に魅力的ですが、注意が必要です。これはオフショアあるあるですが、安い見積もりは多くの場合、経験の浅いエンジニアがアサインされることが多く、結局品質は値段なりであるということを覚えておいてください。あとでレビューすると、とんでもないソースコードで書かれていた、なんて事例も聞いたことがあります。結局、別のベンダーに依頼し直して余計にコストがかかったという失敗事例もあります。(ちなみに弊社ではありません)
ここで受け取った提案書と見積もりがOKであれば、次に契約へと進みます。
オフショア開発を進める際、契約形態は2種類あります。
プロジェクトベースの請負契約と、人数と期間ベースのラボ契約です。
成果物の規模が小さい案件、簡単な機能のアプリなどであれば、プロジェクトベースの請負契約を結びます。請負契約は製品の完成をゴールとし、納期が決められています。
成果物の納品とともにプロジェクトは終了します。
請負契約では、基本的に契約通りに開発を進めなければならないため、途中で仕様変更をすることはできません。
ラボ契約とは、エンジニアの人数と期間がベースの契約です。成果物の完成ではなく、スタッフの労働に対して報酬が支払われます。通常は半年〜1年ぐらいで契約を結び、その間は海外エンジニアを自社の製品開発のために専属で使うことができます。
仕様が明確に定まっていない案件、途中で仕様変更を繰り返しながら完成に近づけるような案件では、ラボ契約が向いているでしょう。
▶︎エンジニアのラボ契約とは?請負契約・準委任契約との違いを解説!
オフショア開発では、ブリッジSE(ブリッジエンジニア)が日本側と海外チームの間をつなぎます。多くのオフショア企業では、日本語のできるエンジニアをブリッジSEに起用して、毎日の進捗報告を行い、日本側の指示を開発チームへ伝えます。
ビデオ通話による定例ミーティングを毎週行い、コミュニケーションを密に取るのが、オフショア開発成功の鍵です。
日本語人材がいない企業では、ブリッジSEは英語でコミュニケーションを取ります。
▶︎ブリッジSE(BrSE)とは?オフショアでの役割と必要なスキルは?
弊社が請け負うアプリ開発のプロジェクトでは、半年以内に完成するものがほとんどです。
完成品が、仕様通りかどうかお客様の側で検収を行います。無事に検収が済むと、ここでプロジェクトは一旦終了になります。
弊社の場合、納品後3ヶ月が保証期間になります。3ヶ月以内に生じる一切のバグや不具合に対して無償で対応します。(保証期間はベンダーによって異なります)
アプリやソフトウェアは完成してそれで終わりというわけではありません。成果物の納品後は、運用・保守フェーズになります。
アプリは、定期的にメンテナンスを行わなければなりません。OSのアップデートや、サーバーのトラブル、急なバグ修正など、アプリが健全に動作し続けるためには、必ず運用・保守が必要になります。
運用・保守を自社で行うか、引き続き開発会社に任せるか、選択しなければなりません。通常は開発会社と引き続きメンテナンス契約を結んで運用します。
▶︎アプリ開発後の運用・保守はどうしますか?【選べる方法4選】
オフショア開発で支払いを行うタイミングはどうなるのでしょうか。
弊社Rabilooの場合ですが、請負契約の受託開発の場合、契約時に全額の50%をお支払いいただき、検収後に残りの50%をお支払いいただきます。これは、ベンダーによって異なります。
ラボ契約の場合は、月毎にエンジニアの人数分の人月単価をお支払いいただく流れになります。契約期間中は毎月支払いが生じます。
ここまで、オフショア開発の進め方についてざっと説明してきましたが、実はオフショア開発を進める前の段階で必要なことがあります。それは「社内調整」です。
社内調整は、オフショアに限らず、国内でITプロジェクトを進める際に絶対に必要なフェーズです。ここがうまくいっていないと、予算の問題や依頼する機能の範囲で途中で折り合いがつかず、プロジェクトが炎上してしまう結果にもなりかねません。
オフショア開発をIT部門に丸投げするのは危険です。各部門や経営陣としっかり連携をとってプロジェクトの管理体制を整えましょう。
特に、経営陣をしっかり巻き込むことは重要です。この重要さについては別の記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
オフショア開発を担当する部門と、現場の間に温度差があって企業全体の足並みが取れていないままだと、オフショア開発運用は非常に難しくなるでしょう。
「コミュニケーションツールを使いこなす」というのも意外と盲点で多くの企業ができていない部分です。オフショア開発では「時差」を考慮に入れてマネジメントをしていく必要があります。
▶︎【プロジェクトオーナー】とは?その役割が機能を果たすためにすべきこと
オフショア開発失敗の原因をたどっていくと、ほとんどのケースで問題はコミュニケーション不足に起因しています。
言語も文化も違う海外のチームとプロジェクトを進めるのは大きな挑戦ですが、ポイントを抑えれば必ず成功します。
以下の点に注意してください。
コミュニケーションを頻繁に取る
外国人に「行間を読め」は無理難題
指示は「はっきり」「具体的に」
コミュニケーションのためのルールを決めておきましょう。例えば、メールやチャットなど、時差や業務のためすぐに返事ができない場合、「返事はいつまでにする」ということをルールにして必ず守るようにします。
また、週に1回はビデオ会議で必ず「顔を見て」定例ミーティングが行えるようスケジュールを決めておきましょう。
さらにコミュニケーションツールを使いこなして、頻繁にコミュニケーションを取りましょう。
日本語が特殊な言語であることを覚えておきましょう。
日本は高コンテクスト(文脈で通じる)文化です。日本人同士なら、曖昧な表現を使っても「行間」や「空気」を読むことで、コミュニケーションは成り立ちます。
しかし、英語やベトナム語などの外国語は低コンテクスト(はっきり表現しないと伝わらない)文化です。外国人に「行間を読め」というのはそもそも無理難題です。
日本人はコミュニケーションの中で、日本語特有のあいまいな表現を無意識のうちに使っていますが、外国人にとってあいまいな日本語は理解しにくいものです。曖昧な表現はオフショア開発において大きなトラブルの原因になるので、意識して避けるようにしてください。
そのため、指示は「はっきり」「具体的に」「わかりやすく」伝えることが必要です。具体的に何をして欲しいのか、して欲しくないのか、いつまでに完成させるのかを口頭並びに文面ではっきり伝えましょう。また、確実に伝わったかどうかを確認してください。「暗黙の了解」は通用しません。
コミュニケーションには「伝え方」にもスキルが求められます。
特に外国人相手に日本語を話すときは、シンプルで的をついた表現を心がけてください。
このように、発注者自らもコミュニケーションのスキルを磨きながら、丁寧に意思を通わせることで、失敗の原因の大半は回避できます。
▶︎オフショア開発でよくある失敗事例と成功するための7つの対策!
この記事では、オフショア開発の進め方について簡単に紹介しました。
ラボ型開発は、チームをマネジメントしていかなければならないため、最初は難易度が高いでしょう。選定したベンダの力試しをするためにも、最初は単発の小規模な案件を任せて様子を見るのがオフショア開発のセオリーのようになっています。慣れたらラボ型へ移行する、という流れです。
弊社Rabiloo(ラビロー)は、ベトナムの中堅ソフトウェア開発企業です。
プロジェクトのニーズに合わせて柔軟にエンジニア人材を提供します。弊社のエンジニアの80%以上は、ベトナム最高峰の理系大学、ハノイ工科大学の出身です。
また、日本のリテール市場での豊富な開発経験を活かし、IoTやAIと連携させたスマートリテールの構築、ECの構築もお任せください。
急な案件でリソースが足りない、短期間だけリソースを増強したい、という課題をお持ちの企業様、ぜひRabilooのサービスをご利用ください。
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