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ベトナムオフショア開発の現状【2026年版】|費用・都市・選び方を現地企業が解説

ベトナムオフショア開発の現状【2026年版】|費用・都市・選び方を現地企業が解説

ベトナムオフショア開発と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。

「人件費が安い」「若いエンジニアが豊富」「勤勉な国民性」

おそらく、こうした印象をお持ちの方が多いはずです。

どれも間違いではありません。

しかし実は、ベトナムオフショアの現場はすでにこうしたイメージの先に進んでいます

私たちRabiloo(ラビロー)はハノイで日本企業の開発パートナーとして現場に立ってきました。

だからこそ断言できます。

今、ベトナムオフショアは「安い下請け」から「一緒にプロダクトを作るパートナー」へと、大きくその姿を変えつつあります。

こうした変化を知っているかどうかで、ベトナムオフショアの使い方はまったく変わってきます。

この記事では、現地で見えている実態をもとに、ベトナムオフショア開発の「今の姿」を整理します。

この記事でわかること
  • 日本企業のシェア43%——ベトナムが選ばれ続ける「本当の理由」

  • 実際にいくらかかるのか——役職別の単価と、インド・フィリピンとの違い

  • ハノイとホーチミン、どちらを選ぶべきか——都市ごとの特性と判断基準

  • エンジニアがいない状態から、最小限のリスクで始める方法

※本記事では、市場データの一部に『オフショア開発白書(2025年版)』を参照・引用しています。

ベトナムオフショア開発とは?2026年の現状にアップデート

ベトナムオフショア開発とは、日本国内のシステム開発やアプリ開発といったIT業務を、ベトナムのエンジニアチームに委託する手法です。

かつてベトナムオフショアは「コスト削減の手段」として語られることがほとんどでした。 しかし現在は、国内のIT人材不足を補い、企業のDXを加速させるための戦略的な開発インフラとして位置づけが変わっています。

日本のIT人材不足は深刻です。少子化による労働人口の減少とデジタル化需要の急増が重なり、国内だけで開発リソースを調達することは、中小企業にとってとりわけ難しくなっています。

ベトナムオフショアは、この構造的な課題に対する現実解として機能しています。

なぜ日本企業から最も選ばれているのか

日本企業からの主なオフショア開発委託国のグラフ。ベトナムが全体の43%を締め、人気が集中している

現在、ベトナムは日本企業にとって最も人気のあるオフショア開発の委託先(シェア43%・1位)です。インドやフィリピンなど多くの選択肢がある中で、ベトナムが選ばれ続ける理由は主に以下の3点に集約されます。

  1. 若く優秀なIT人材の安定供給 ベトナム政府は1990年代後半からIT産業育成を国策として推進し、現在は年間5万人以上のITエンジニアが輩出されています。AIやクラウドなどモダンな技術スタックに対応できる人材が豊富で、供給が止まりません。

  2. 日本との高い親和性(時差・文化) 日本との時差はわずか2時間。日中の営業時間内にリアルタイムで連携できます。親日的な国民性と日本語学習者の多さから、ブリッジSE(BrSE)を介したコミュニケーションが非常に円滑です。

  3. 依然として高いコストパフォーマンス 単価上昇傾向にあるものの、採用費・社会保険・育成コストを含めた国内エンジニアの「トータルコスト」と比較すると、コストメリットは依然として大きく残ります。

「安さ」「技術力」「コミュニケーションのしやすさ」——この3つのバランスが最も優れているため、ベトナムは日本のオフショア開発の主流であり続けています。

オフショア開発の基本的な仕組み・メリット・契約形態・国別比較などの全体像については、「【2026年最新版】オフショア開発とは?仕組み・メリット・失敗しない選び方を徹底解説」で詳しく解説しています。本記事ではベトナムに特化して深掘りします

ベトナムオフショアの現状|今、何が変わっているのか

「安い」「若い」「親日」。

この3つのキーワードで語られてきたベトナムオフショアは、2026年の今、その前提から変わり始めています。

変化は表面的なものではありません。

コスト、パートナーの動き、求められる役割。

3つの変化が同時に進行しており、それぞれが独立した話ではなく、同じ方向を指しています。

「安さ」で選ばれた時代は終わりつつある

「ベトナムは人件費が安い」

ベトナムオフショアを語るとき、多くの記事がこの一文から始まります。

たしかに、かつてはその通りでした。

日本国内の3分の1の単価で開発できる。同じ品質を、圧倒的なコスト差で手に入れられる。

それがベトナムオフショアの「選ばれる理由」でした。

しかし2026年の現在、この前提は大きく揺らいでいます。

まず、円安の定着です。

2021年頃から始まった歴史的な円安は、一時的な為替変動では終わりませんでした。ベトナム側から見ると、同じ仕事量でも日本円ベースの利益は大幅に減少しています。

次に、ベトナム国内の経済成長に伴う人件費の上昇です。

エンジニア単価は年々上がり続けています。「日本の3分の1で作れる」という時代は、すでに過去のものです。

費用相場の詳しい整理と国別比較については、 こちらの記事で解説しています。

オフショア開発の費用相場|単価比較だけでは見えない構造

それでも、多くの日本企業がベトナムを選び続けています。

なぜか。

理由は「安いから」ではなくなっているからです。

コスト差だけでベトナムを選ぶ時代は終わりつつあります。

では何で選ぶのか。

その答えを理解するには、ベトナムオフショアの構造変化を知る必要があります。

2026年のベトナムオフショアを取り巻く3つの構造変化

2026年のベトナムオフショアには、3つの構造的な変化が同時に起きています。

1つ目は、AIによる開発プロセスの変質です。

生成AIツールが、開発現場に浸透しました。ベトナムの若いエンジニアの多くは、AIを使ったコーディングを「当たり前の作業環境」として受け入れています。

これはメリットであると同時に、従来のビジネスモデルに構造的な問いを突きつけています。AIが実装速度を上げるほど、「人月」で価値を測るモデルが成立しにくくなるからです。

2つ目は、ベトナムIT企業の「日本離れ」です。

円安の定着により、日本円での売上が実質目減りしたベトナム企業の中には、より利益の出る欧米市場へシフトする動きが加速しています。

日本市場に特化してきた企業が、英語圏のクライアントを増やし始めている。

「日本向け」が当たり前だった時代から、 ベトナム企業が市場を選ぶ時代に変わりつつあります。

裏を返せば、日本企業にとっては「良いベトナムパートナーを確保すること自体が競争になる」ということです。

3つ目は、オフショアに求められる役割の高度化です。

かつてのオフショアは「仕様書通りに作る」存在でした。

しかし今、日本企業が求めているのは、設計段階から参画し、技術的な提案ができるパートナーです。

契約形態にも、この変化は表れています。

『オフショア開発白書2025』によると、2025年時点の契約形態はラボ契約が45%を占め、請負契約の32%を上回りました。

2021年は請負63%、ラボ型32%でしたから、わずか4年で完全に逆転しています。

「作って納品して終わり」ではなく、「一緒に走り続ける」関係を選ぶ企業が主流になった。

2021年から2025年にかけてのオフショア開発契約形態の変化を示す比較グラフ。請負型が63%から32%に減少し、ラボ型が32%から45%へと主流が逆転。「作って終わり」から「共に走り続ける」継続的パートナーシップへの移行を示している。

この3つの変化は、個別の出来事ではありません。すべて同じ方向を指しています。

ベトナムオフショアは「安い外注先」から「開発構造の一部」へと位置づけが変わっている。

この構造変化を理解するには、ベトナムオフショアがどのように進化してきたのかを振り返る必要があります。

ベトナムオフショア20年の進化を3フェーズで読み解く

ベトナムオフショア開発20年の進化を3フェーズで表した図。2000年代の「コスト削減」、2010年代の「リソース確保」を経て、2024年以降は「共創パートナー」へと進化。AI活用が進み、オフショアが戦略的インフラとなった歴史を解説している。

ベトナムオフショアの現在地を正しく理解するには、「今どうなっているか」だけでは足りません。

どのような構造的背景を経て、今に至ったのか。 その流れを知ることで、2026年の変化が一過性のトレンドではなく、必然的な進化であることが見えてきます。

ベトナムオフショアの20年は、大きく3つのフェーズに分けられます。

第1フェーズ(2000年代)── コスト削減の時代

2000年代のオフショア開発は、インターネットとPC向けソフトウェアの急拡大が背景にありました。

日本国内では開発案件が増える一方で、エンジニアの単価は上昇していく。

企業はコストを抑える手段を必要としていました。

当時、オフショアの主役は中国でした。

しかし中国の人件費が急速に上がり始めたことで、「ポスト中国」として注目されたのがベトナムです。

この時期のベトナムオフショアの役割は明確でした。

下流工程の代替です。

テスト、コーディング、単純な置き換え作業。仕様書をもらい、そのとおりに作る。

価値の源泉は「人件費差そのもの」であり、ベトナム企業は「安く作れる」という理由で選ばれていました。

当時はそれで十分でした。

市場が求めていたのは「同じものをもっと安く」だったからです。

しかしこの構造には、最初から限界がありました。

人件費差だけで選ばれる関係は、相手が安くなくなった瞬間に終わるということです。

第1フェーズの価値は、コスト差に依存していました。そしてその前提は、次のフェーズで変わり始めます。

第2フェーズ(2015年〜)── リソース確保の時代

2015年以降、オフショアの位置づけは大きく変わりました。

背景にあったのは、日本のIT人材不足の深刻化です。

経済産業省の試算では、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると指摘されていました。 すでに2010年代後半から、国内でエンジニアを確保すること自体が難しくなり始めていたのです。

さらに決定的だったのが、コロナ禍によるリモートワークの社会定着です。

2020年以降、フルリモートでの開発が一般化したことで、「海外に開発チームを持つ」というハードルが下がりました。 物理的な距離が、心理的な距離でもなくなった。

この変化により、オフショアの価値は「安く作れる」から「足りない人材を補える」へとシフトしました。

単なるコスト削減手段ではなく、不足する開発リソースを確保するための現実的な選択肢として定着した。

それがこの時期の最大の転換です。

契約形態にも変化が表れました。

単発の請負型から、優秀なチームを継続的に確保するラボ型への移行が進んだ。

「仕様書通りに作る工場」から、「一緒に走る開発チーム」へ。 関係性そのものが変わったのです。

ベトナムがITリソース豊富になった背景

ベトナム主要IT企業のルーツを示す系統図。日本のODAとハノイ工科大学(HUST)による高度人材育成プロジェクト「HEDSPI」を根幹として、Rabilooを含む多くの有力ベンダーが誕生した構造を図解している。

この変化の背景には、ベトナム側の人材供給力が構造的に高まったという事実があります。

日本市場を理解し、日本企業と協働できるエンジニアがなぜベトナムにこれほど多いのか。

その答えは、2006年に始まった日本のODAを原資とするエリートIT人材育成プログラム「HEDSPI」にあります。

ハノイ工科大学で選抜された最優秀の工科系学生に、最先端のIT技術と日本語、日本のビジネス文化を徹底的に教え込む。

このプログラムの卒業生たちが日本で経験を積み、ベトナムへ帰国した時期と重なる2010年代後半から独立・起業ラッシュが続きます。

現在、日本市場相手にオフショア開発サービスで成長しているITローカル企業の多くは経営陣が「ハノイ工科大学」出身であるのは偶然ではありません。

日本市場の需要拡大と、ベトナム側の供給力が噛み合い、日本市場に特化したオフショア企業がハノイを中心に一気に生まれました。

私たちRabilooも、その系譜の一つです。

こうしたベトナムのIT教育の構造が、日本市場に強いエンジニアを生み出す土台になっています。

ベトナムIT人材の構造的な背景とHEDSPIの詳細については、 別の記事で詳しく解説しています。

→「ベトナムのエンジニアはなぜ優秀なのか|国策・HEDSPI・起業の構造を現地企業が解説

第3フェーズ(2024年〜)── 一般化と新たな壁

2024年以降、ベトナムオフショアは新たな段階に入りました。

一言でいえば、オフショアの一般化です。

もはや「海外に開発を出す」こと自体は特別な判断ではなくなりました。 日本の開発現場において、ベトナムの開発チームは「当たり前のインフラ」になりつつあります。

その背景には3つの要因があります。

1つ目は、ベトナム側の技術的な高度化です。

WebやモバイルだけでなくAI、IoT、クラウドネイティブなど先端技術への対応力が急速に広がりました。

2つ目は、継続的な開発チーム体制が一般化したことです。

ラボ契約が約半数を占める時代になっています。

3つ目は、ベトナムのエンジニアが「実装力」だけでなく、設計力や提案力を備え始めたことです。

「作って納品して終わり」ではなく、「一緒に走り続ける」関係を選ぶ企業が主流に。

オフショアはもはや「特別な手段」ではなく「戦略的インフラ」へと変わっています。

ベトナムオフショア開発の費用相場(2026年最新版)

「で、実際いくらかかるの?」

ここが一番気になる方も多いはずです。

ただし、「ベトナムは安い」という前提で費用を調べると、現実とのギャップに驚くかもしれません。

役職・スキル別の月額単価

『オフショア開発白書2025』によると、2025年時点のベトナムのプログラマー平均月額単価は約40.1万円(前年比+1.8%)です。

役職・スキル別に見ると、おおよそ以下の水準になります。

役職・スキルレベル

月額単価の目安

ジュニアエンジニア

20〜30万円

ミドルエンジニア

35〜50万円

シニアエンジニア

55〜80万円

ブリッジSE(日本語対応)

50〜90万円

テックリード・アーキテクト

80万円〜

「以前は30万円台だった」と感じている方も多いでしょう。その感覚は正しいです。単価は年々上昇しています。

ただし、この数字だけで「高くなった」と判断するのは早計です。

比較すべきは、国内採用のトータルコストです。

日本で中堅エンジニアを採用する場合、採用費(エージェント費用)、社会保険料、福利厚生、教育・育成コストを合算すると、月額換算で100万円を超えることも珍しくありません。

ベトナムの単価が上がっても、この差は依然として大きい。

「コストメリットが消えた」のではなく、「コストの比較軸が変わった」と理解するのが正確です。

ライバル国との比較で見るベトナムの優位性

「インドやフィリピンとどう違うの?」という疑問も当然です。

主要なオフショア先との単価比較(月額目安)は以下の通りです。

ミドル単価の目安

日本語対応

時差

ベトナム

35〜50万円

◎(特にハノイ)

2時間

インド

25〜45万円

3.5時間

フィリピン

30〜45万円

△(英語主体)

1時間

中国

40〜60万円

1時間

ミャンマー

20〜35万円

2.5時間

単価だけ見ればインドやミャンマーが安い場面もあります。

しかし日本企業にとって決定的なのは、日本語対応力と時差の少なさです。

ベトナム(特にハノイ)は、HEDSPIプログラムを背景に日本語・日本のビジネス慣行に対応できるエンジニアが構造的に多い。時差2時間は、日中のリアルタイム連携が十分可能な範囲です。

「安さ」だけで選ぶ時代は終わりました。

しかし「コミュニケーションコスト・品質リスク・時差」を含めたトータルで見れば、ベトナムの優位性は今も健在です。

失敗しない開発会社の選び方(都市・契約・ブリッジSE)

費用の相場がわかった。次は「どう選ぶか」です。

「技術力がある」「コミュニケーションが取れる」「単価が妥当」——こうした従来の評価軸は、今でも大切です。

しかし、それだけでは足りません。

What・How・Whyの3層で見極める

オフショア企業の価値は、3つの層で整理できます。

What──何ができるか

どの言語を使えるか。どの技術スタックに対応しているか。 これが最も基本的な評価層です。

従来、多くの日本企業はこの層だけでベンダーを選んできました。しかしAIが実装の一部を担う時代に、「作れるかどうか」だけの評価では差がつかなくなっています。

How──どう進めるか

課題をどう分析し、開発をどう設計し、技術選定をどう判断するか。

What層にとどまるベンダーは、言われたものを作る。 How層に上がれるベンダーは、進め方を一緒に考える。

この差は、AIが発達するほど広がります。

Why──なぜそれをやるのか

クライアントの事業が何を目指しているのか。この開発は、ビジネス全体の中でどういう位置づけなのか。

長期的なパートナーシップを築くなら、事業の目的を共有できるかどうかが決定的に重要になります。

整理するとこうなります。

  • What層だけで選ぶと、「作れる会社」は見つかる

  • How層まで見れば、「一緒に考えられる会社」が見つかる

  • Why層まで見れば、「事業を共に前進させられる会社」が見つかる

オフショアベンダーの価値を「What(技術)」「How(設計・推進)」「Why(事業理解・伴走)」の3層で整理したピラミッド図。単なる実装力(What)だけでなく、事業成長にコミットする最上位の「Why」が重要であることを示している。

以下の記事では、ベトナムオフショア企業を選ぶための判断構造を、What(何ができるか)・How(どう作るか)・Why(なぜ作るのか)の3層と、4つの企業タイプで整理しています。


ベトナムオフショア企業の選び方|比較表では見えない3つの判断軸

ハノイ・ホーチミン・ダナン、どの都市を選ぶか

ベトナムの主要IT拠点は、北部のハノイ、南部のホーチミン、中部のダナンの3都市です。

それぞれの特性は大きく異なります。

ハノイ

日本向けオフショアのメインフィールドです。HEDSPIを中心とした日本語教育の歴史が長く、日本語・日本のビジネス文化に精通したエンジニアが最も多い都市です。

Rabilooを含め、日本市場特化のオフショア企業の多くがハノイに拠点を置いています。

品質への意識が高く、長期的なパートナーシップを求める日本企業に向いています。

ホーチミン

ベトナム最大の経済都市で、グローバル企業の拠点が集中しています。

英語対応力が高く、欧米クライアントも多い。エンジニアの数は多いですが、人材の流動性も高い。

グローバルな技術スタックを持つチームを探す場合や、英語でのやりとりが前提になる案件に向いています。

ダナン

近年急速に成長している第3の拠点です。

ハノイ・ホーチミンより単価が低く、優秀な人材が比較的確保しやすい時期にあります。

ただし日本向けの実績や日本語人材の絶対数はまだ少ないです。

コスト重視かつ英語対応可能なプロジェクトに向いています。

日本企業がベトナムでパートナーを探すなら、最初はハノイから探すのが現実的です。

契約形態の選び方(ラボ型・SES・請負の使い分け)

契約形態を間違えると、どんな優秀なパートナーと組んでもうまくいきません。

3つの主要な形態の使い分けを整理します。

ラボ型(ODC型)

月額固定で専属チームを確保し、中長期で継続的に開発するモデルです。チームとの信頼関係を積み上げながら進めるため、要件が変化する案件や、プロダクト開発に向いています。

現在、オフショア契約の約45%を占める主流形態です。

向いているケース:自社プロダクトの開発・改善、スタートアップの開発体制構築、DX推進

請負型

仕様を確定させてから発注し、成果物単位で契約するモデルです。要件が明確で変更が少ない案件に向きます。

ただし、「仕様外」の問題が出た際の対応が硬直しやすいのがデメリットです。

向いているケース:要件確定済みの社内システム、既存システムの改修、テスト工程の切り出し

SES型

エンジニアを時間単位で稼働させるモデルです。自社のプロジェクトに組み込んで使うイメージに近い。マネジメントコストは日本側に発生します。

向いているケース:特定スキルの人材が一時的に必要な場合、自社チームの補強

開発体制の違いについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
ラボ型開発(ODC)とは?SES・請負型との違いと、オフショアで選ばれる本当の理由

ブリッジSEの質が、成否を分ける

どの契約形態を選んでも、最終的な成否を左右するのは**ブリッジSE(BrSE)**です。

ブリッジSEとは、日本側とベトナム側の橋渡し役を担うエンジニアのこと。日本語でのヒアリング、要件の翻訳・整理、ベトナム開発チームへの指示、進捗管理、品質チェックを一手に担います。

どれほど優秀な開発チームがいても、ブリッジSEが機能しなければプロジェクトは止まります。

逆に言えば、優秀なブリッジSEがいれば、開発チームの力を最大限に引き出せます。

ブリッジSEを見極めるポイントは3つです。

  1. 日本語力だけでなく、技術的な理解力があるか。要件を翻訳するだけでなく、技術的な文脈で解釈・整理できるかが鍵です。

  2. 日本側の「行間」を読める文化理解があるか。「なんとなくこんな感じで」を適切に具体化できる力が求められます。テト(旧正月)など、ベトナムの商習慣を理解しているかどうかも、文化理解の一つの指標になります。

  3. 問題が起きたとき、隠さず早く報告できるか。ブリッジSEの誠実さがプロジェクトのリスク管理を左右します。

パートナー選定の際は、担当ブリッジSEとの直接面談を必ずリクエストしてください。

ブリッジSEの役割とプロジェクトを成功させる秘訣について詳しくは以下の記事をご覧ください。

ブリッジSE(BrSE)とは何か|役割・選び方・よくある失敗

オフショア開発を成功させる構造設計(丸投げからの脱却)

正しいパートナーを見つけた。費用感もわかった。契約形態も決めた。

でも、それだけでは成功しません。

成功するかどうかは、設計で決まります。

契約形態と体制は「設計対象」である

多くの企業がオフショアで失敗する原因は、「丸投げ」です。

仕様書を渡して、あとは任せる。進捗も確認しない。成果物だけを受け取る。

この構造では、どんなパートナーと組んでもうまくいきません。

しかし逆もまた問題です。

すべてを日本側で決め、細かく指示を出し、実装だけを任せる。ベトナム側に一切の裁量を与えない。

この構造では、オフショアの価値を半分も引き出せません。

必要なのは、その間にある「伴走」です。

方向性は共有するが、進め方は一緒に考える。 成果の定義は合意するが、手段は委ねる。 問題が起きたら、責任を押し付けるのではなく共に解決する。

丸投げは「外注」です。 伴走は「パートナーシップ」です。

コストは似ていても、成果はまったく異なります。

「丸投げ」と「伴走」の境界線

では、伴走の構造を設計するとはどういうことか。

具体的には、以下の3点を最初に決めることです。

1. 何を成果とするか、一緒に定義する

「動くものを作る」ではなく、「この指標をこの数字にする」。成果の定義が曖昧なまま始めると、ゴールが見えないまま走り続けることになります。

2. 誰が何を判断するか、役割を明確にする

日本側が決めること、ベトナム側に委ねること、一緒に話し合うことを最初に整理する。これがないと、「言った・言わない」の摩擦が生まれます。

3. 問題が起きたとき、どう解決するかを事前に決める

オフショアに限らず、開発では必ず問題が起きます。重要なのは問題が起きないことではなく、起きたときの対処の仕組みを持っていること。

スモールスタートを勧めるのも、この理由からです。

1名・1ヶ月の小さな案件から始めることで、パートナーとの「問題解決の仕方」を確認できます。その経験があってこそ、次のフェーズで規模を拡げられます。

まとめ|オフショアの本質は「開発構造の再設計」である

ベトナムオフショア開発は、20年で大きく変わりました。

コスト削減の手段として始まり、リソース確保の現実解として定着し、今、AI時代の共創パートナーへと進化しつつあります。

この進化を振り返ると、一つの共通点が見えてきます。

それぞれのフェーズで成功した企業は、オフショアを「外注」ではなく「構造の一部」として設計していたということです。

本記事で整理したポイントを改めて示します。
  • ベトナムオフショアは「安いから選ぶ」時代を超え、構造変化の中にある

  • その変化の土台には、HEDSPIを通じて計画的に育成されたエンジニア群という構造的背景がある

  • 選定軸はWhat(作れるか)だけでなく、How(一緒に考えられるか)、Why(事業を共有できるか)まで見るべき段階にある

  • 都市はハノイが日本向けの第一候補。契約はラボ型が主流だが、案件の性質で使い分ける

  • ブリッジSEの質が、プロジェクトの成否を左右する

  • 成功の鍵は、丸投げでも過剰管理でもなく、伴走の構造を設計できるかどうか

ベトナムオフショアは、単なる調達手段ではありません。

開発体制をどう設計するか、という経営の問いです。

「安く作ってくれる会社か」ではなく、「一緒に成長できる会社か」。

その視点を持てる企業だけが、オフショアをコストではなく資産に変えられます。

ベトナムオフショアの活用を検討されている方へ

開発体制の設計は、パートナー選びの前に始まります。

下記フォームからご相談いただく際、以下の3点を事前に整理いただけると、より具体的な議論ができます。

  • プロジェクトの目的と期待する成果

  • 想定している体制規模(人数・職種・期間)

  • 契約形態の希望(ラボ型・請負型・未定)

要件が固まっていない段階のご相談も歓迎です。構想づくりから一緒に考えます。

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Kakimoto Kota
Rabilooのオウンドメディアで制作ディレクターを担当。日越翻訳、記事、動画、SNS、コンテンツの戦略立案から制作まで行う。2015年よりベトナム・ハノイ在住

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