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「また同じ作業の繰り返し...」
「エクセルとメールを行ったり来たりで時間がかかってしょうがない」
そんな毎日にうんざりしていませんか?
実は、最近では、AIを使ってこうした面倒な定型業務を自動で処理する"仕組み"を取り入れる企業が増えてきました。とはいえ、複雑なシステムをいきなり導入するのは現実的ではなく、「もっとシンプルに、自社の業務に合わせて組み立てられる方法があれば…」という声も多く聞かれます。
そこで今、世界の技術者たちの間で最もHOTなのが、「n8n(エヌエイトエヌ)」というワークフロー自動化ツールです。
n8n(エヌエイトエヌ)はまだ日本ではあまり知られていませんが、これは、AIやさまざまな業務ツールを柔軟につなぎ、自動で"仕事を動かすしくみ"をつくることができる便利な自動化ツールです。
「n8nを使えば自動化できないものは何もない」とさえ言われています。
結論から申し上げると、n8nを使えば、あなたが毎日やっている定型業務の8割は自動化できます。さらにAIエージェントとの連携により、これまで人間でないとできなかった文章作成、判断や処理まで自動化できるようになります。
この記事ではそんなn8nについて、一体どんなツールなのか初めての方にもわかりやすく紹介していきます。
n8nの基本的な仕組みと特徴
n8nの料金
AIエージェントとの連携方法と活用事例
他の自動化ツールとの違いと選び方
実際の導入方法
n8n(エヌエイトエヌ)は、オープンソースの「ノーコード / ローコード」ワークフロー自動化ツールです。普段使っているアプリやサービス(Google Sheets、Slack、メール、データベースなど)に加え、ChatGPTなどのAIツールとも連携させて、面倒な作業を自動で処理してくれます。
n8n公式サイト:https://n8n.io/
簡単にいうとn8nとは「普段使っているツール同士をつなげて、面倒な作業を自動でやってくれるソフトウェア」です。
n8n(エヌエイトエヌ)は2019年にドイツのJan Oberhauser氏によって開発されたツールで、現在では世界中で20万人以上が利用しています。まだ日本では認知が遅れていますが、海外ではすでに「これなしでは仕事にならない」と言われるほど重要なツールになっています。
ちなみに「n8n」はもともとは「nodemation(ノーデメーション)」という名前でした。これは「node(部品)」と「automation(自動化)」を組み合わせた造語です。
しかし、「nodemation」はパソコンで打つとき長すぎるので「n」と「n」の間に8文字あることから短縮して「n8n」になったという由来があります。
n8nは「ノーコード」ツールとして設計されており、プログラミングの知識がなくても誰でも簡単に自動化システムを作れます。
ノーコードとは、プログラミングのコードを書かずにシステムを作れる手法のことです。一方ローコードは、必要最小限のコードだけで開発できる手法を指します。
n8nはこの両方に対応しているため、初心者から上級者まで幅広く活用できます。
従来のシステム連携では、APIの仕様を理解し、複雑なコードを書く必要がありました。しかしn8nでは、ドラッグ&ドロップの操作でノードを配置し、設定画面で必要な情報を入力するだけで連携が完成します。
わかりやすくいうと、作業を「パーツ」に分けて、それらを線でつなげることで自動化の流れを作ります。このパーツのことを「ノード」と呼び、「◯◯したら」「◯◯する」という指示カードのようなものです。
特に重要なのが「トリガー」と呼ばれる最初のノードです。これは「いつ自動化を始めるか」を決める合図*のようなもので、例えば以下のようなものがあります:
「新しいメールが届いたら」
「毎朝9時になったら」
「フォームに入力があったら」
「エクセルに新しい行が追加されたら」
このトリガーが発動すると、その後に続く作業が自動的に実行されます。
具体的な流れ:
トリガー:「お客様からメールが届いたら」
処理:「その内容をエクセルに書き込む」
通知:「担当者にLINEで連絡する」
これらの指示カードを順番に並べて線でつなげると、完全自動化の完成です。まるで料理のレシピを作るような感覚で、「まずこれをして、次にこれをして...」という手順を直感的に組み立てていけばいいのです。
例えば以下のワークフローでは、「ある特定の時刻に、AIトレンドに関する最新のネット上の情報を収集して、生成AIで要約してSlackに送る、というフローを自動化しています。
n8nの大きな特徴は、オープンソースソフトウェアとして自分でサーバーに設置すれば完全に無料で使えることです。
オープンソース:ソフトウェアの設計図(ソースコード)が一般公開されており、誰でも自由に使用・改変できるソフトウェアのことです。
使い方は2つから選べます:
セルフホスティング版:自分の会社のパソコンやサーバーに設置して使う(完全無料)
クラウド版:n8n社が提供するサービスとして使う(有料、無料トライアル期間あり)
どちらを選んでも同じことができるので、会社の状況に合わせて決められます。
現在400以上のサービスと連携可能で、GoogleやMicrosoft、Slack、ChatWorkなど、普段使っているツールのほとんどがつなげられます。世界中の利用者が新しい連携先を追加し続けているため、使えるツールはどんどん増えています。
特に中小企業にとっては、大きな投資をしなくても本格的な業務効率化ができる、とても魅力的な選択肢といえるでしょう。
まずは、n8nが得意とする基本的な自動化からご紹介します。これらは「もし◯◯なら、◯◯する」というシンプルなルールに基づいた単純作業の自動化です。
お問い合わせフォームに入力があったら→顧客管理システムに自動登録→担当者にメール通知
メルマガ配信後→開封率やクリック率のデータを自動収集→レポートを作成してSlackに投稿
請求書がメールで届いたら→経理システムに自動登録→承認者に通知
毎月末→各部署の売上データを自動集計→経営陣にレポート送信
新入社員の情報を入力したら→各システム(メール、勤怠管理、給与計算)に一括登録
有給申請があったら→上司に承認依頼→承認後に勤怠システムに自動反映
これらの作業は、一度設定すれば毎回同じ手順で確実に実行されます。ミスもなく、24時間365日働き続けてくれるため、スタッフは本来の重要な業務に集中できるようになります。
n8nは、さまざまなツールやサービスをノーコードでつなぎ、自動で処理を実行するだけでなく、そこにAIを組み合わせることで、“決められた処理をこなすだけ”だった自動化が、「考えて動くAIエージェント」へと進化します。
AIエージェントとは、ChatGPTのような人工知能を使って、文章を読んで理解し、自律的な判断や回答ができるシステムのことです。
営業部門やカスタマーサポートでは、日々大量のメールや問い合わせが届きます。n8nは、GmailやOutlookなどと連携し、メール本文をAI(ChatGPTなど)に送って自動で要約し、さらに返信案も生成させることが可能です。
営業なら:お客様の質問に対して、過去の製品情報を参照して自動返信を提案
カスタマーサポートなら:問い合わせ内容を分類し、適切な返信草案を自動作成
返信案はそのままSlackに通知したり、担当者に承認を求めるフローを加えることもできます。
請求書や申込書、アンケートなど、紙ベースや画像で届くデータもn8nとAIの組み合わせで自動処理が可能です。
画像がアップロードされたことをトリガーに
AI OCR(光学文字認識)で文字情報を抽出
ChatGPTでデータの形式を整理
スプレッドシートやデータベースに自動登録
これにより、人手での入力作業をゼロにしつつ、誤入力も防ぐことができます。
アンケートやレビュー、SNSコメントなど、「お客様の声」は企業にとって宝の山です。n8nは、これらのデータを定期的に取得し、AIに分類・感情分析を任せることで、施策のヒントとなるレポートを自動生成できます。
ネガティブなレビューを抽出→製品改善部門に通知
キーワード別に分類→新商品の反応を可視化
週次でまとめてSlackに送信→マーケティングチームがすぐ動ける状態に
人が1件ずつレビューを読む必要はありません。AIとn8nが「要点だけ」を届けてくれます。
現代の企業では、顧客管理システム、会計ソフト、在庫管理システム、メール配信ツールなど、多くのシステムを同時に使っています。これらのシステム間でデータを手動で移し替える作業は、非常に時間がかかる上にミスも起こりやすいものです。
「考えて動く」AIエージェントの基本構造
n8nとAIを組み合わせた業務自動化は、次のような**「自律的に動く」構造**を作ることができます:
入力(メール受信、データ発生など)
↓
AIで判断・生成(内容理解/要約/返信/分析)
↓
n8nがルールに基づいて実行(通知/保存/他システム連携)
この構造により、「人が判断していた部分」をAIに、「人が操作していた部分」をn8nに置き換えることができます。
実際の連携例:ECサイト運営の場合
ECサイトで注文が入る
AIが商品の配送方法を自動判定
在庫管理システムの在庫数を自動更新
会計システムに売上データを自動登録
顧客管理システムに購入履歴を追加
配送業者のシステムに配送依頼を自動送信
AIが生成したお礼メールをお客様に自動送信
このように、n8nとAIを組み合わせることで、ただの自動化では実現できない「知的な業務プロセスの自動化」が可能になります。しかも、ノーコードで構築できるため、スピード感を持って導入・改善ができるのも大きな魅力です。
特に複数のシステムを使っている企業にとって、n8nは「システム間の壁」を取り払い、AIの判断力も加わることで、まるで優秀なスタッフが常駐しているような自動化システムを構築できる画期的なツールといえるでしょう。
▶︎AIエージェントとは?生成AIとの違いや仕組みをわかりやすく説明
「業務自動化ツールって、他にもいろいろあるけど、n8nは何が違うの?」
そんな疑問をお持ちの方も多いでしょう。確かに、Zapier(ザピアー)やMicrosoft Power Automate(パワーオートメート)など、似たようなツールは数多く存在します。しかし、n8nには他のツールにはない独自の特徴があります。
ここでは、n8nと他の主要な自動化ツールとの違いを具体的に比較し、なぜn8nが注目されているのかを解説します。
業務自動化ツールの代表格として、Zapier(ザピアー)とMicrosoft Power Automate(パワーオートメート)があります。これらのツールとn8nの違いを表で比較してみましょう。
項目 | n8n | Zapier | Power Automate |
---|---|---|---|
料金 | 基本無料(オープンソース) | 月額約2,000円〜 | 月額約1,500円〜 |
データの扱い | 自社サーバーで管理可能 | クラウドのみ | クラウド中心 |
カスタマイズ性 | 非常に高い | 限定的 | 中程度 |
連携可能サービス | 500以上(拡張可能) | 8,000以上 | 1000以上 |
技術的な柔軟性 | JavaScriptコードも使用可能 | 設定画面のみ | 数式レベル |
初期導入 | やや複雑 | 簡単 | 簡単 |
Zapierは最も有名な自動化ツールの一つで、8,000以上のアプリと連携できる点が大きな強みです。設定も非常に簡単で、初心者でもすぐに使い始められます。
ただし、すべての処理がZapierのクラウド上で行われるため、機密性の高いデータを扱う企業には不向きな場合があります。また、高度なカスタマイズには限界があり、複雑な処理には対応しきれないことも。
Power AutomateはMicrosoft製品との連携に優れており、Office 365を使っている企業にとっては非常に便利です。ExcelやSharePoint、Teamsなどとの連携がスムーズで、Microsoft環境で統一している企業には理想的です。
しかし、Microsoft以外のサービスとの連携には制限があり、柔軟性という点ではn8nに劣る面があります。
n8nが選ばれる理由
n8nの最大の特徴は、
無料で使える
自社で管理できる
自由にカスタマイズできる
という3つの要素が揃っていることです。
特に中小企業にとっては、月額数千円のコストでも負担になることがあります。n8nなら初期投資ゼロで始められ、効果を実感してから本格導入を検討できるため、リスクが非常に低いのが魅力です。
「n8nがすごいのはわかったけど、実際に導入するのって簡単なの?」
そんな疑問をお持ちの方も多いでしょう。確かにn8nは「ノーコード」ツールとして設計されていますが、実際に業務で使える自動化システムを構築するには、いくつかの課題があります。
特にAIと組み合わせた高度な自動化を実現するには、技術的な知識だけでなく、業務フローの設計力や運用ノウハウが不可欠です。
ここでは、n8n導入の現実的な課題と、それを解決するためのアプローチについて詳しく解説します。
n8nは確かに「ノーコード」ツールですが、「何も考えずに使える」わけではありません。むしろ、効果的な自動化システムを構築するには、従来のプログラミング以上に論理的な思考と業務理解が重要になります。
設計で考えるべきポイント
業務フローの整理
現在の業務手順を正確に把握する
どの部分を自動化すべきかを判断する
例外処理やエラー対応を想定する
関係者間の承認フローを設計する
データの流れの設計
どのシステムからどんなデータを取得するか
データの形式変換や加工が必要か
データの保存先や共有方法はどうするか
セキュリティやプライバシーの配慮
AIとの連携設計
AIに何を判断させるのか明確にする
AIの回答をどう活用するかを決める
AIが間違った判断をした場合の対処法
RAG(検索拡張生成)による知識ベースの構築
具体的な設計例:問い合わせ対応の自動化
単純に「問い合わせメールを自動返信する」だけなら誰でもできますが、実用的なシステムにするには:
問い合わせの分類ルール:技術的な質問、料金の質問、苦情など
緊急度の判定基準:即座に対応が必要なもの、翌営業日対応でよいもの
担当者への振り分けルール:どの部署の誰に回すか
自動返信の内容設計:どこまで自動で回答し、どこから人間が対応するか
エスカレーション設計:AIで対応できない場合の人間への引き継ぎ
これらを全て考慮した設計ができて初めて、本当に使える自動化システムになります。
よくある設計の落とし穴
過度に複雑な設計:最初から完璧を目指しすぎて、結局使われない
例外処理の不備:通常パターンしか考えず、エラー時に止まってしまう
ユーザビリティの軽視:自動化されても、使いにくくて結局手作業に戻る
保守性の無視:作りっぱなしで、仕様変更時に対応できない
n8nとAIを組み合わせた自動化システムの構築には、意外に多くの専門知識が必要です。多くの企業で「思ったより難しい」と感じる領域があります。
技術的な課題
AIとの連携部分
ChatGPTなどのAI APIの適切な使い方
プロンプト(AI への指示文)の最適化
RAG技術の実装と知識ベースの構築
AI の回答品質の管理と改善
API利用料金の最適化
システム連携の複雑さ
各種サービスのAPI仕様の理解
認証方式(OAuth、API キーなど)の設定
データ形式の変換処理
エラーハンドリングの実装
セキュリティとプライバシー
機密データの適切な取り扱い
GDPR や個人情報保護法への対応
アクセス権限の管理
データの暗号化と保管
運用・保守の課題
モニタリングと改善
ワークフローの実行状況の監視
エラー発生時の対応とログ分析
パフォーマンスの最適化
定期的なメンテナンス
組織的な課題
社内での合意形成と推進体制
ユーザートレーニングとサポート
業務プロセスの変更管理
効果測定と改善サイクル
「作って終わり」では成功しない
多くの企業が陥りがちなのが、「とりあえず動くものを作って満足してしまう」ことです。しかし、本当の価値は継続的な運用と改善から生まれます。
利用者からのフィードバック収集
データに基づく効果測定
新しい業務への展開
AI性能の継続的な向上
これらの活動には、技術的な知識だけでなく、業務改善のノウハウと継続的なサポート体制が不可欠です。
▶︎AI開発の目的とは?プロジェクトの進め方からポイントまで解説
Rabiloo(ラビロー)は、n8nのようなノーコードツールの設計・構築支援だけでなく、ChatGPT・OCR・自然言語処理・RAG構成などを含むAI実装の知見を併せ持つテクノロジーパートナーです。
ノーコードで自動化したいが、AIとの組み合わせに自信がない
現場の課題は明確だが、技術に落とし込む方法がわからない
やりたいことはあるが、どこから手を付ければいいか迷っている
といった状況に対して、技術だけではなく「業務改善」の視点から伴走し、PoC設計〜実装・運用まで支援可能です。
n8n × AIの導入は、単なるツールの選定ではなく、“自社の仕事の仕方そのものを再設計するプロジェクト”。
だからこそ、AIと業務の両方に強いRabilooのような外部パートナーの支援が、導入成功の鍵となります。
この記事では、海外で話題の「n8n」について解説してきました。
オープンソースで使える業務自動化ツール
ノーコードなので、直感的な操作
AIと連携して、判断・分析業務も自動化可能
400以上のサービスと連携でき、あらゆる業務に対応
ただし、導入には課題もあります
効果的な自動化システムを作るには、業務設計力やAI技術の知識が必要です。多くの企業が「思ったより難しい」と感じているのが現実です。
成功の鍵は「適切なパートナー選び」
Rabilooなら以下の強みがあります。
最新AI技術(RAG含む)の豊富な経験
独自のAI研究開発チーム
ベトナムの優秀な先端エンジニアリソース
日本語サポートと長期的な伴走支援
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