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オフショア開発といえば以前は、ほぼ中国一択でした。
しかし現在では、中国で新規の案件を進める企業は少なく、東南アジア諸国へ拠点を移しています。
中国でオフショア開発を行うメリットは今でもあるのでしょうか。
中国でオフショア開発を行うリスクや問題点は?
本記事ではこういった疑問にお答えして、中国オフショア開発の現状について解説します。
オフショア開発は中国以外に、ベトナムやフィリピン、インドなどのアジア諸国でも行われています。中国のオフショア開発は独自にどんな特徴があるのでしょうか。
日本のオフショア開発は、1980年代に中国に進出していた日系企業のシステム開発を行うところから始まりました。日本企業が中国でオフショア開発を盛んに行うようになったのは2000年代に入ってからです。
アメリカのIT企業がインドのエンジニアを使ってオフショア開発を成功させているのに対し、日本企業は同じ漢字圏で距離も近い中国でオフショア開発を成功させていきます。
インドと中国のIT企業の大きな違いは、先進国の下請けにとどまらず、自国の市場に向けた製品開発に力を注いだところです。中国はあっという間にIT先進国、経済大国へと成長します。
その結果、人件費は高騰し、以前のようにコスト削減を目的に中国でオフショア開発を行う時代は終わりを告げます。
現在、中国は世界有数のIT大国に成長しています。2021年の世界のデジタル競争ランキングで中国は15位で、日本は28位と大きく差をつけられています。
そのため中国オフショアはもはや日本の下請けとしてではなく、日本で確保できないような高度なスキルを持つエンジニアの確保のために活用されていくことになります。
画像引用:『オフショア開発白書(2022年版)』(オフショア開発. com)
https://www.offshore-kaihatsu.com/offshore_hakusho_2022/
次に中国オフショア開発単価の動向を見ていきましょう。
「オフショア開発白書(2022年版)」によると、中国の単価はオフショア委託国の中では最も高くなっています。
オフショア開発の平均エンジニア単価は25万円〜30万円ぐらいですが、中国のエンジニア単価は50万円近くまで高騰しています。
特に高騰が激しいのは上海や深圳など沿岸部の都市で、日本より単価が高い企業もあるほどです。一方、内陸部の単価上昇は比較的ゆるやかで、まだコストメリットをギリギリ出すことができます。
中国でオフショア開発を行うならどんなメリットがあるでしょうか。
中国は他のアジアの国と異なり、漢字を使い、日本語学習者も多いのでコミュニケーションが取りやすいというメリットがあります。
中国は今や世界のIT大国へと成長し、デジタル競争力では日本を追い抜いています。中国のオフショア開発では高い技術力を確保することができます。
中国は国土は広大ですが、日本との距離は比較的近く、時差は1時間しかありません。
この点は日本がオフショア開発する上でメリットになります。
中国のオフショア単価は全体的に見ると高騰していますが、内陸部の単価はまだ日本に比べると安いのでコストメリットを出すことができます。
オフショア開発で中国を選ぶ前にリスクと問題点について考えておきましょう。
中国人と日本人は性格が全く異なります。ビジネスをする上でこの違いは言葉の違い以上に障壁となります。
一般的に中国人は自分の非を認めず、相手に責任をなすりつける傾向があります。この性格が災いしてトラブルになったり、プロジェクトが炎上するリスクもあります。
中国の政治上の問題により、経済活動が難しくなるリスクもあります。中国政府のネット検閲は非常に厳しく、情報漏洩やセキュリティのリスクもあります。
また、尖閣諸島の問題や台湾有事など国際問題が深刻になった時のリスクも考えておかなければなりません。
尖閣諸島の問題が生じた2012年の反日運動のように、中国と日本との間にはまだ火種が残っています。また、中国企業は基本的に日本人への評価が低く、対等なパートナーとして協業するのが難しく感じるかもしれません。
コスト削減を目的として中国でオフショア開発を行う時代はもう終わりました。
沿岸部のエンジニア単価は日本より高い場合もあります。
中国企業の感覚では求められている以上のことは絶対にやりません。最善の仕事ではなく、最低限の仕事をするため、クオリティが低く感じることがあります。
こういった人件費の高騰やチャイナリスクを回避するため、多くの日本企業が中国から撤退し、ベトナムへオフショア開発拠点を移しています。
現在、新規で行われるオフショア案件のほとんどがベトナムで行われています。
中国と比較したときに、ベトナムにはどんなメリットがあるでしょうか。
ベトナムへのシフトが始まった2010年代はベトナムの単価は非常に安く、大きなコストメリットが出ていました。
現在、ベトナムのエンジニア単価も上昇傾向にありますが、それでもまだ日本の3分の1程度のコストで開発することができます。
ベトナムは親日で日本人へのリスペクトもあり、勤勉で真面目な国民性のため、中国よりもオフショアプロジェクトを進めやすいです。
ベトナムは国策でIT人材の育成に力を入れていること、またオフショア開発の経験を積んでいるため、以前よりもかなり技術が高くなっています。
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【2024年】ベトナムオフショア開発の最新動向をローカル企業が解説!
中国はこれまで日本にとって最大のオフショア開発委託国でした。
しかし近年、技術が上がり単価が高騰したため、コスト削減を目的としたオフショア開発を中国で行う時代は終わりました。
これからも中国でオフショア開発は行われていきますが、下請けとしてではなく、グローバル開発、高い技術力の提供、といった新たな目的で利用されていきます。
弊社Rabiroo(ラビロー)はベトナムのソフトウェア開発企業です。日本企業の開発パートナーとして、業務システム、アプリ開発、デジタルサイネージを中心にさまざまなITソリューションを提供しています。
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