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どんぐりの背比べ?差別化に苦しむベトナムラボ型開発に関する一考察

2024/10/08
2023/11/28
どんぐりの背比べ?差別化に苦しむベトナムラボ型開発に関する一考察

カントリーリスクや人件費の高騰で、中国でのオフショア開発が下火になった昨今、ポスト中国として日本のオフショア開発の受け皿となっているがベトナムです。特に2010年代後半から日系開発企業のベトナム現地子会社が雨後の筍のごとく設立され、さらに日本帰りのベトナム人エンジニアが起業したベトナム現地スタートアップIT企業も急増しています。これらのベトナムベンダーは日本語対応できることを強みにして、日本企業のオフショア案件を受けています。

そんなベトナムオフショア開発が特に強みにしているのが、ラボ型開発です。

ラボ型開発はベトナムオフショア開発の代名詞と言えるほど、ベトナムではラボ型開発が盛り上がりを見せています。しかしその一方で、次第にオフショア開発市場は飽和状態になりつつあり、さらに追い討ちをかけるように円安によって以前ほど利益が出せなくなっている現地企業も少なくありません。

本記事は、日本のオフショア案件を7年にわたって手がけてきた、ベトナムのソフトウェア開発企業、Rabiloo(ラビロー)のブログ編集部が、ベトナムラボ型開発が今直面している課題や今度の見通しについて書いていきたいと思います。少しの時間お付き合いいただければ幸いです。

ベトナムは日本向けのラボ型開発が得意

ラボ型開発はチームとのコミュニケーションが何よりも重要になってくるため、コミュニケーションがとりやすい、というのが1番のポイントです。

ではなぜ、ベトナムはラボ型開発を売りにするようになってきたのでしょうか。

以下のような要素が関係しています。

  • 場数を踏んでノウハウが蓄積されてきた

  • 日本で就労経験のあるエンジニアの活躍

  • ベトナムは国策でIT人材の育成に力を入れている

場数を踏んでノウハウが蓄積されてきた

ベトナムでオフショアが始まった2010年代のイメージをいまだに持たれている方も少なくないですが、当時と比べると今の技術は飛躍的に進歩しています。

元々のオフショア開発の需要は、日本で上流工程を行い、ベトナムで実装、テスト、納品など下流工程を行うところに始まりました。しかし、近年ベトナムの開発現場ではプロジェクトの場数をこなしていく中で、開発のノウハウがどんどん蓄積されてきました。

結果、日本人とのコミュニケーションの取り方、日本のビジネス文化などに対する理解も深まり、長期にわたる関係を築いてきたベトナムベンダーは少なくありません。

さらに先端技術のキャッチアップの速さ、上流工程から任せられる提案力なども身についており、こうした理由から、ベトナムでは日本と共同で開発を進められるレベルに業界全体が成長してきました。

そもそも、ラボ型開発にはプロジェクトマネジメントに関するノウハウが欠かせません。ここ10年の開発現場で培ってきた経験値は、ベトナムがラボ型開発に強くなってきた要因の一つになっています。

日本で就労経験のあるエンジニアの活躍

ベトナムトップの理工系大学のハノイ工科大学では2006年から2014年にわたって日本のODA(政府開発援助)計画の一環で、JICA(独立行政法人国際協力機構)の運営によってHEDSPIというIT学部のコースで日本語のできる高度ITエンジニア育成プロジェクトが実施されてきました。

プロジェクト終了後も民間企業が教育を引き継ぎ、日本語人材が継続的に育成されています。

プロジェクトの成果として修了生の約80%が日系企業に就職し、エンジニアの多くが、日系IT企業に就職しその後、ベトナム拠点のリーダーに就任するケースも見られます。さらに日本帰りのエンジニアが帰国後スタートアップ企業を立ち上げ、日本のオフショア開発案件の受け皿となってきました。

彼らは日本の企業文化もよく理解し、日本語も堪能であるため、フィリピンやインドなどの諸外国に比べ、ラボ型開発をマネジメントしやすいチーム組織ができる要因になっています。

ベトナムは国策でIT人材の育成に力を入れている

2022年の時点で、ベトナムの平均年齢は32歳で、労働人口は約5700万人と推定されています。ベトナムはIT国家戦略を掲げており、さらに国策でIT人材の育成に積極的に力を入れています。結果、毎年5万人の若いエンジニアが市場に送り出されています。

人口減少で深刻なIT人材不足を抱える日本と比べると、ベトナムは若いエンジニアリソースが圧倒的に豊富で、このことも開発リソースを確保しやすい要因になっています。

上述のHEDSPIプログラムでは、オフショア開発、特にラボ型開発には欠かせないブリッジSEの育成に力を入れていて、ラボ型開発の普及に貢献しています。

ベトナムラボ型開発が抱える課題と悩み

このように順調に力をつけてきたベトナムのラボ型開発ですが、ほとんどの企業が10年未満の若手です。エンジニアが経営者になっている企業がほとんどのため、技術的にはどこもハイレベルですが、明確な経営戦略を打ち出せず、差別化に苦労している企業が多いのも事実です。サービスの質の平均値は上がってるが、悪く言えばどこも似たり寄ったりな印象です。

そのためベトナムのスタートアップIT企業において、「ブロックチェーン」「DX」「AI開発」など自社ブランドの売りとなる独自性、差別化が今後の課題となっていくでしょう。

ベトナムの企業にとって、課題となるのは以下の点です。

  • 歴史的な円安による利益減

  • 市場が飽和状態で差別化ができない

  • 日本市場に旨みがなくなってきた

歴史的な円安による利益減

コロナ禍でも順調に成長を続けてきたベトナムのオフショア業界ですが、2022年以降の円安では大打撃を受けました。案件数は増えても売り上げが20%落ち込み、単価の値上げを余儀なくされています。その結果、コスト削減のインパクトが以前よりも出ず、そのことは少なからず受注量にも影響が出ています。

また、長期にわたるラボ案件では、円安の影響で仕事量は変わらないのに売り上げだけ下がる、という結果を受け入れざるを得ない状況も続いています。

オフショア市場が飽和状態で差別化ができない

ベトナムのオフショア開発市場は、日本向け案件を扱うスタートアップの急増で飽和状態に近づいています。各社の技術力は全体的に向上しましたが、結果として「どんぐりの背比べ」状態に陥っています。このため、企業にとっては自社の独自性を打ち出し、競合との差別化を図ることが大きな課題となっています。

同業者の話によると、自社独自のプロダクトがない規模の小さなスタートアップでは、、下請けの案件ばかりを扱うため、それがエンジニアのモチベーション低下にも影響しています。経験を積んだエンジニアは、キャリアアップできる新天地を求め、離職が止まらないという悪循環に陥ることもあります。

そのためベトナムの多くのスタートアップ企業ではAIやブロックチェーンなどの先端技術に積極的に挑戦し、優秀なエンジニアのモチベーションを満足させ、優秀な人材の流出を防ぐためにいろいろ苦心しています。

日本市場に旨みがなくなってきた

日本が世界の経済競争に躍り出た栄光は過去のもので、近年の景気の落ち込みや円安の影響で、ベトナムの起業家にとって日本を相手にビジネスをするのは以前に比べて旨みがなくなっています。

今やベトナムの若者世代に最も大きな影響を与えているのは紛れもなく「韓国」で、日本の製品もカルチャーもすっかり韓国発のものに取って変わられています。韓国企業のベトナム進出は経済面で著しい成果を上げており、日本企業の存在感を凌駕しています。

この傾向はオフショア企業にも波及しており、日本市場から離れ、韓国やヨーロッパ、英語圏の市場開拓に乗り出す企業が増加しています。明確な戦略を持たず、単に日本企業向けのコスト削減や若手エンジニアの豊富さだけを売りにしてきたオフショア開発企業は、成長が停滞し、難局に直面しています。

関連記事:【2024年】ベトナムオフショア開発の最新動向をローカル企業が解説!

二極化が進むベトナムのラボ型開発

ベトナムのオフショア開発企業にとって、技術力の向上と共に差別化が重要な課題となっています。現在ベトナムオフショア業界では、企業間で独自のプロダクトや戦略を持つ企業と、従来型の「低コスト」「高品質」をアピールする企業に分かれつつあります。

日本市場での課題に直面し、欧米市場に注力する企業も増えていますが、日本にはまだ多くの可能性があり、ベトナムの技術力が必要とされる場面は今後も続くでしょう。

これからは、明確なビジョンと提案力を持つオフショア企業がラボ型開発市場で成長していくと予想されます。一方で、欧米など複数の市場に力を分散させると、十分な成果を得られない可能性があります。

ラボ型開発の成功には「共創」の精神が重要です。円滑なコミュニケーションと良好な関係構築が鍵となります。

円安の影響はありますが、ベトナム企業にとっても、この時期に日本市場との関係を強化することは将来への投資となり得ます。実際、ベトナムと日本は文化的な親和性が高く、開発においても相性が良いと言えます。

今後のラボ型開発の成功は、日越両国が互いの強みを活かし、共に成長していくビジョンを持てるかどうかにかかっています。

Rabilooの差別化戦略

Rabiloo(ラビロー)は2017年に、日本帰りのエンジニア、ゴー・ゴック・クオンによって創立されました。

創業当時は、ハノイ工科大学の同級生が立ち上げた、「ザ・スタートアップ」という雰囲気のフレッシュな企業でした。

当時の様子を人気ブロガーのマナブさんが記事で取り上げてくれていました。
参照:ベトナムはオフショアは『超アリ』です【体験談付きで解説するよ】

2024年現在、Rabilooは4回目のオフィス拡張を行い、従業員200名、2022年には日本法人を設立し順調に中堅企業へと成長を続けています。

この記事で取り上げた課題というのはまさにRabilooが抱えている課題で、試行錯誤の毎日です。

今後10年以内に、ベトナムでTOP10に入るテクノロジー企業を目指すため、当社が「現時点のフェーズ」で打ち出している差別化戦略は以下のとおりです。

  • オンデマンドで応えられる、柔軟なエンジニア増強サービス

  • IoTを活用したスマートリテール分野でベトナムトップになる

  • EC構築のエキスパートとして、小売業界で受注の販路を広げる

Rabilooのポリシーはクライアントに「共感し、成長にコミットする」ことです。クライアントとビジネスへの「深い理解」が、開発において何よりも重要だと思っています。取引先のクライアントの皆様は口を揃えて、「ラビローさんは人が良いんだよな」とお褒めの言葉をいただいています。また、提案力、技術力の高さも大前提として、開発品質の高さが、Rabilooを長期間にわたってラボ型開発を続けていただいている一番大きな理由です。

ベトナムでオフショアパートナーをお探しの企業様、ぜひ一度ハノイへ視察にお越しください。

Rabilooは2023年10月、ベトナム企業最速で、CMMIレベル3の認証を取得しました。

まとめ

この記事では、ベトナムが日本向けのラボ型オフショア開発に強い要因と、ベトナムのオフショア企業が抱えている課題について、弊社の見解も交えながら解説しました。

ベトナムがラボ型オフショア開発を得意にしている理由

  • 場数を踏んでノウハウが蓄積されてきた

  • 日本帰りのエンジニアが増えた

  • 若いリソースが豊富

ベトナムオフショアが抱える課題

  • 歴史的な円安による利益減

  • 市場が飽和状態で差別化ができない

  • 日本市場に旨みがなくなってきた

Rabiloo(ラビロー)はベトナム・ハノイに拠点を置くソフトウェア開発企業です。2023年にブランドを一新し、新たに生まれ変わりました。

“Grow together.”

Rabilooのキャッチフレーズです。

共に成長でき、長続きできる開発パートナーをお探しの企業様、ぜひ機会を作って、ベトナム・ハノイのRabilooオフィスへ視察にお越しください。ハノイ到着後のアテンド、視察ツアー等、何でもお気軽にご相談ください。

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