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IT化とDXは、同じように見えますが、アプローチが異なります。
IT化とDXの違いは何だろうと疑問に感じることはありませんか?
企業がITを上手に取り入れると、業務効率が大幅に向上します。さらにサービス提供の仕方も、ビジネス自体も大きく変化します。
一見するとDXが進んだように感じますが、IT化はDXではありません。
ではDXとIT化の違いとは何でしょうか。
本記事では、今さら聞きにくい「DXとIT化の違い」、さらによく似た表現である「デジタル化」とは何かについて、初心者向けにわかりやすく解説していきます。
社内のDXを進めなければならないが、何から手をつけたら良いのかわからない、という方の参考になれば幸いです。
この記事でわかること
DXとIT化の違い
DXとデジタル化の違い
DXにつながるITとデジタル技術の導入方法
IT化とは、社内の業務や作業をITを使って効率化することです。
ITとは、情報技術(Information Technology)の略称で、コンピューターやインターネットをはじめとする情報処理に関する技術のことを指します。ITには、ハードウェアやソフトウェア、ネットワーク技術、データベース技術、セキュリティ技術などが含まれます。
IT化とは、インターネットやソフトウェアなどのIT技術を導入して業務の自動化や情報の共有化、データの集計・分析などを行うことで、人手や時間の節約、品質向上、迅速な意思決定などを実現します。
ITを業務に導入することで、
などの変化がもたらされます。
コロナ禍で多くの企業において、サービスのオンライン化、リモートワーク対応、クラウドの利用などが急速に発展しましたが、これらはIT化の例です。
このようにビジネスプロセスにおいてITを上手に取り入れると、業務が大幅に効率化します。これは一見すると「DXが進んだ」ように感じるかもしれませんが、IT化はDXではありません。
ではIT化とDXは、何が違うのでしょうか。
まず、DXとは何かを整理してみましょう。
DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、「デジタルによる変革」です。
▶︎【DXのXとは?】Digital Transformationの略がなぜ「DX」になるのか
DXという概念はもともと2004年にスウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマンによって提唱されました。「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」というのがDXの基本的な考え方です。
日本で「DX」というワードは、2018年に経済産業省が「DXレポート」の中で「2025年までに企業がDXを推進しなければ最大で12兆円の経済損失が発生する」という呼びかけが行われたことから、ビジネスの世界で盛んに言及されるようになりました。いわゆる「2025年の崖」問題です。
参考記事:【2025年の崖とは】なぜ2025年?
それでまとめると、DXとは、
「企業がデジタル技術を活用することによってビジネスの価値を向上させ、組織や経営文化をも変えて、デジタル競争で優位に立つための取り組み」
ということができます。
DXには、新しいデジタル技術の導入、既存のプロセスの改善、および新しいビジネスモデルの創造が含まれます。
DXは、単に新しい技術を取り入れるだけではなく、人々の価値観やライフスタイルそして、組織をも大きく変えるようなダイナミックな革新です。
DX推進はIT部門だけではなく、組織全体で進められる必要があり、企業がこれからの時代のビジネス競争に生き残るために必要不可欠だとされています。
さて、本題である「IT化とDXの違い」について考えましょう。
簡単にいうと、IT化はDXを進めるための手段です。
IT化とDXの違いは、「目的」と「手段」の違いです。
DXは「企業の目的」で、IT化は「目的を達成するための手段」です。
DX推進が「デジタル技術の導入」という文脈で語られることがありますが、ITを取り入れること自体は目的ではありません。
IT化はDXの前のフェーズで、DXはIT化の先にあります。
IT化によって社内業務の効率化を実現し、新しいサービスを生み出すかもしれませんが、DXを進めるためには、組織や経営全体に関わる舵取りを行わなければなりません。
IT化とよく似た表現に「デジタル化」があります。ここで「デジタル化」についても整理しておきましょう。
デジタル化とは、従来アナログで行っていたものをデジタル技術を使ってデジタルデータとして変換することです。
具体的には、音声や映像、文字、写真などをデジタルデータとして保存することや、書類のペーパレス化などが含まれます。デジタル化により、情報の保存や共有が容易になり、検索や処理の効率が上がることが期待されます。
デジタル化はIT化ともよく似ていますが、IT化は、情報技術(IT)を活用して業務のプロセスを改善することを指すのに対して、デジタル化はアナログの情報や物質的なものをデジタルデータとして変換することを指します。
つまり、音声や映像、書類や手続きなどをデジタル化し、保存・伝送することに重点が置かれます。
デジタル化は、アナログのものをデジタルデータとして変換することを指します。一方、DXは、デジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセスを変革し、新たな価値を生み出すことを指します。
つまり、デジタル化は主に情報の保存や共有、処理の効率化を目的とし、DXは主にビジネスモデルの変革や新たなサービスの開発に重点が置かれます。DXにおいては、デジタル技術を活用して、従来の業務プロセスを改善するだけでなく、新たな付加価値を生み出すことが求められます。
デジタル化は、DXに至る、前段階のフェーズになります。
デジタル化はさらに「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」というフェーズに分類されます。
詳しくは「デジタイゼーションとデジタライゼーションの違いを事例を交えて解説」という記事をご覧ください。
今では知らない人はいない、「iPhone」の登場を思い起こしてみましょう。
Apple社のiPhoneはまさにDX
iPhoneが登場した2007年当初は、「ボタンのないスタイリッシュな携帯電話」「電話もかけられる便利な小型コンピュータ」、一部のガジェットマニアが喜ぶ「携帯電話の新機種」の一つでした。
しかしiPhoneは、またたく間に携帯電話市場を席巻し、「スマートフォン」という新たなフォーマットを世界に定着させ、Apple社のみならず、同業他社のビジネスモデルも大きく変えていきました。
ここで注目したいのは、iPhoneが人々に最も価値を与えたのは何かということです。iPhoneが人々に最も価値を与えたのは「どこでもインターネットにつながる、モバイルコンピューター」としての革新的機能です。
iPhoneは、Apple社のサービスも組織も、ユーザーの暮らしも、買い物のスタイルも、音楽の消費スタイルも、言うなれば「社会」を革新的に大きく変えていきました。
「DX」とはこういうことです。
ITの進歩は目まぐるしく、数ヶ月単位で私たちの暮らしやライフスタイルは変化しています。コロナ禍におけるリモートワークの浸透、さらにはChatGPTをはじめとするAIツールの台頭で、人の代わりにAIがタスクをこなせるようになり、これまでの私たちの価値観をリアルタイムで大きく変えています。
DXを推進する上で、これらのデジタル技術は欠かせません。
そもそもDXは非常に壮大なプロジェクトになるため、まずはすぐに取り組める以下のようなIT化から始めることができます。
クラウド
IoT
5G
AI
クラウドとは、インターネット上で利用できるクラウドコンピューティングのことです。
クラウドで提供されるサービスには以下のようなものがあります。
Webメール(Gmail、Yahooメールなど)
SNS(Twitter、Facebookなど)
オンラインストレージ(iCloud、Dropbox、Googleドキュメントなど)
Webアプリケーション(Googleドキュメントや canvaなどのデザインアプリなど)
サーバ(AWSなど)
デジタルサイネージ
このようなクラウドサービスを利用することで、以下のようなことが簡単に取り組めます。
書類のペーパーレス化
情報の共有化
業務の効率化
関連記事:【初心者でもわかる】クラウドサービスとは?わかりやすく解説!
IoTとは“Internet of Things”の略語で、「モノのインターネット」とも呼ばれます。
IoTは、インターネットに接続されたセンサーがついたデバイスを用いて遠隔操作したり、相互に情報をやり取りしたりする技術のことです。
例えば、スマートフォンで電化製品を操作したり、端末からデータを収集してデバイスの状態を知ることなどができます。
IoTを利用することで、企業はビジネスプロセスを自動化したり、最適化したりすることができます。たとえば、製造業では、IoTデバイスを使用して、生産ラインの監視や部品の在庫管理を自動化することができます。
さらに、IoTデバイスから収集されたデータは、ビッグデータとして扱われることがあります。
このデータを分析することで、企業は顧客ニーズや市場動向を把握し、より効果的なビジネス戦略を立てることができます。
5Gは「5th Generation」の略で、「ファイブジー」と読みます。
5Gは国際的な無線通信規格のことで、5世代目の移動通信システムです。
iPhoneが登場した当時は3Gでしたが、その後2012年に4Gが登場し、より大きなデータ容量の通信が可能になり、スマホで動画をスムーズに見られるようになりました。
日本では2020年から5Gが商用開始となって、さらに広い帯域幅を持ち、大容量の通信が可能になります。
5Gが普及すれば、VR/AR(仮想現実・拡張現実)で、自宅にいながら、スポーツやイベント観戦をリアルに楽しめるようになります。
さらに、5Gによって遠隔操作の精度が上がるため、例えば現場に行くことなく、建設重機を正確に操作することも可能になります。
AIとは“Artificial intelligence”の略で、「人工知能」のことです。
2023年は、AIが人間に変わって仕事を行なう転換点になる年になるとも言われており、AIはDX推進と最も深い関わりがある技術です。
DXに活用できるAI技術には以下のようなものがあります。
音声・文字・画像認識
数値の予想、データ分析
文章理解・翻訳
機械制御
チャットボット
推論
自然言語処理が行えるChatGPTが台頭していますが、AIが人間に変わって何でも行えるような時代が来ています。
AIを活用した革新的なサービスは、今後も世の中を変えていくでしょう。
参考記事:中小企業のDXはスモールスタートで始めれば怖くない
本記事ではIT化やデジタル化とDXの違いについて詳しく解説しました。
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