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アプリやシステムの開発を外注しようと見積もりを取ったとき、提示された「1人月〇〇万円」という数字に驚いたことはありませんか。
実際、多くの企業担当者が「この金額は妥当なのか?」「他社と比べて高くないか?」と戸惑いながらも、根拠のないまま発注してしまっているのが現状です。
そもそも「1人月」とは何を意味し、どうやってその単価が決まるのでしょうか。そして、今いくらぐらいが相場なのでしょうか。
結論から言えば、エンジニア1人月の単価は、日本国内ではおおむね 60万〜100万円前後 が目安とされています。
ただし、その金額がすべてエンジニアの給料ではないことや、条件次第ではこれより大幅にコストを抑える選択肢も存在することはあまり知られていません。
本記事では、開発予算の見積もりやベンダー選定で迷わないために、以下のポイントをわかりやすく整理していきます。
1人月の意味と計算の考え方
エンジニアの人月単価はどのように決まるのか
国内・海外における相場の違いと背景
品質とコストのバランスを考えた開発パートナーの選び方
開発費が適正かどうか判断したい方、自社に合ったパートナーを見つけたい方は、ぜひご一読ください。
開発の見積もりで頻繁に登場する「人月単価」という言葉。
聞き慣れないうえに、金額だけが一人歩きしてしまい、「実際には何を意味しているのか」「なぜそんなに高額なのか」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。
ここでは、まず「人月」や「人月単価」の基本的な意味と計算方法、
そして多くの方が誤解しやすい「単価=月給ではない」という構造をわかりやすく整理していきます。
システム開発の見積もりで頻出する「人月(にんげつ)」とは、1人のエンジニアが1ヶ月間働く際の作業量を表す単位です。
たとえば「6人月」といった場合、それは「1人で6ヶ月かかる作業量」「3人で2ヶ月」など、人数と期間の掛け算で表現されます。
一方で、「工数」は作業量全体を示す概念で、人月は工数を表すための単位の1つです。
たとえば「このプロジェクトには60人日=3人月が必要」と言う場合もあり、「人月」と「人日(にんにち)」は使い分けられます。
見積もりの際によく目にする「1人月80万円」という表記があります。
これは1人のエンジニアを1ヶ月稼働させた場合の対価を意味しますが、これはエンジニアの「月給=80万円」ということではありません。
実際の人月単価は、以下のような要素を含んでいます。
エンジニアの人件費(給与、賞与、社会保険料など)
間接費(営業、PM、管理部門、教育など)
利益(ベンダーの利益率)
つまり、人月単価は「会社がクライアントに提示する価格」であり、エンジニア個人の給与とはまったく別物です。
そのため、同じスキルのエンジニアでも、会社によって提示される金額は大きく変わることがあります。
「プログラマー1人が1ヶ月働くだけで80万円は高すぎる」と感じたとしても、実はこの金額の中には多くの費用・経費が上乗せされています。
特に大手のシステム開発会社の場合、プロジェクトの進行管理や顧客対応、品質管理などを行うための間接部門が厚く、
その分、開発者の人件費以外のコストが大きくなります。
また、開発業務がさらに外注(二次請け、三次請け)されているケースもあり、
中間マージンが複数重なることで、表面的な人月単価が実際以上に膨らんで見えることもあります。
こうした背景から、1人月あたりの金額を見て「高い・安い」と判断するのではなく、単価の内訳や契約内容を把握したうえで総合的に比較することが重要です。
人月単価の仕組みがわかったところで、次に気になるのは「実際にいくらくらいが相場なのか?」という点でしょう。
このセクションでは、日本国内におけるエンジニアの人月単価の目安を、スキルや職種、地域などの観点から整理します。
具体的な金額感をつかむことで、見積もりの妥当性を判断する一助になるはずです。
日本国内におけるエンジニアの人月単価は、職種やスキルレベルによって大きく異なります。
以下は、首都圏を前提とした一般的な相場です(2025年時点の情報を反映)。
職種・スキルレベル | 人月単価(目安) |
---|---|
プログラマー(初級) | 約60万〜70万円 |
システムエンジニア(中級) | 約80万〜120万円 |
システムエンジニア(上級) | 約100万〜160万円 |
プロジェクトマネージャー | 約70万〜130万円 |
このように、専門性の高い工程やマネジメント層に近い職種ほど単価は高くなる傾向があります。
また、要件定義やアーキテクチャ設計などの上流工程を担う人材は、単価が100万円を超えることも一般的です。
同じ職種・スキルレベルであっても、単価は地域や契約形態によって変動します。
地域差:
東京や大阪などの大都市圏では物価・人件費が高く、人月単価も上振れします。
一方、北海道・九州などの地方では同じスキルでも首都圏の80〜90%程度の単価で提供されるケースもあります。
契約形態の違い:
請負契約の場合、テスト完了や納品までの責任を含むため単価が高くなる傾向にあります。
準委任契約では、一定期間の稼働を前提とするため、比較的単価が抑えられるケースもあります。
このように、同じ「1人月」という単位であっても、契約内容や地域によって費用感は変動するため、相場を一律で判断しないことが重要です。
関連記事:エンジニアのラボ契約とは?請負契約・準委任契約との違いを解説!
もし見積もりの中で「1人月180万円」といった相場より明らかに高い単価が提示された場合は、次のような可能性を検討する必要があります。
企画・要件定義から納品までを包括した請負契約である
極めて高スキルの技術者(CTOクラス)がアサインされている
実際には下請けが多段階に介在しており、マージンが積み重なっている
逆に、あまりに安い単価が提示されている場合も注意が必要です。
品質担保がされていなかったり、途中で追加費用が発生したりするリスクもあるため、単価だけで判断せず、工数・スキル・契約条件などをセットで検討することが大切です。
ここまでで、エンジニアの人月単価には幅があること、そして一律では語れないことがご理解いただけたと思います。
では、その単価は具体的にどのような要素で構成され、何が影響しているのでしょうか?
このセクションでは、見積もりで提示される人月単価を形づくる主な4つの要素について解説します。
人月単価に最も直接的な影響を与えるのが、アサインされるエンジニアのスキルと経験年数です。
たとえば、プログラミングの実装だけを行うジュニアエンジニアと、要件定義やアーキテクチャ設計まで担えるシニアエンジニアとでは、提供できる価値が大きく異なります。
その結果として、
実装中心のメンバー → 60万〜80万円
設計・マネジメントもできる上級エンジニア → 100万円以上
といった単価差が生まれます。
見積もりの段階で「どのレベルのエンジニアがアサインされるのか」は、単価以上に重要な判断材料になります。
開発会社の規模によっても、提示される人月単価は異なります。
大手企業の場合:営業やPM、管理部門のコストが加わるため、単価は高くなりがち
中小・ベンチャー企業の場合:間接部門が少なく、現場に近い費用感で提示される傾向がある
また、大手のプロジェクトは、さらに別会社に開発を委託する「多重下請け構造」になっているケースもあり、実作業者の単価に複数のマージンが乗ることで、見積もりが膨らむ場合があります。
必ずしも「高品質だから高単価」とは限らないため、見積もりの背景にある体制や構造を見極めることが重要です。
開発会社の所在地(地域・国)によっても、人月単価には大きな差があります。
たとえば、日本国内の都市部(東京・大阪)にある開発会社は、家賃・人件費・管理部門のコストが高く、それが人月単価にも反映されやすくなります。とくに大手企業では、営業やマネジメント、間接部門の人件費が重なり、単価が上振れする傾向があります。
一方、国内の地方都市や海外(ベトナム・インドなど)に拠点を持つ開発会社では、物価や人件費が比較的安いため、同じスキルレベルでも単価を抑えやすいのが特徴です。また、現地でエンジニアを直接雇用しているケースが多く、中間コストやマージンが少ない分、現場に近い費用感での見積もりが可能です。
人月単価は、市場の需給バランスにも大きく影響されます。
一般的なWeb開発(PHP、JavaScript)などは、エンジニアの数も多く、相場が安定している
一方で、AI・機械学習(Python、R)、インフラ自動化(Terraformなど)のような先端技術分野は、専門人材が不足しており、単価が高くなる傾向にあります
また、同じ技術領域でも、フルスタックエンジニアやクラウド設計経験者などの複合スキル人材は希少性が高く、単価も高騰しやすくなります。
最新の技術を取り入れる開発では、人材の希少性=コストと理解しておくと、見積もりの背景が読みやすくなります。
▶︎Javaエンジニアはなぜ不足しているのか?【エンジニア獲得の秘策】
ここまでで、エンジニアの人月単価は一律ではなく、スキル・契約形態・ベンダーによって大きく変わることがわかってきました。
とはいえ、予算に限りのある中で、少しでも開発費を抑えたいというのは当然のニーズです。
このセクションでは、品質を損なわずに人月単価を見直す3つの具体的な方法を紹介します。
人月単価を高くしている原因の一つが、開発会社の中間コストです。
特に大手企業では、営業やPM、管理部門などの間接部門が多く、実際に開発を行うエンジニアにかかる費用以上のコストが上乗せされる傾向があります。
一方、中小規模のベンダーやスタートアップ系の開発会社では、組織がスリムである分、より実費に近い単価での契約が可能です。
もちろん、体制やリスク管理の面で大手ほどの安心感はないかもしれませんが、
見積もり内容が透明で、柔軟な対応ができるパートナーを選べば、十分にコスト削減と品質を両立できます。
「ニアショア開発」とは、東京などの都市圏ではなく、地方の開発会社に業務を依頼する方法です。
地方は首都圏と比べて人件費や物価が低いため、同じスキルのエンジニアでも人月単価が約8〜9割程度になることがあります。
たとえば、北海道、福岡、沖縄などでは、都市部と比べて単価が10万円以上安くなるケースもあります。
ただし、地方では人材の層がやや薄く、プロジェクトによっては特定スキルを持ったエンジニアの確保が難しい場合もあるため、事前の確認が重要です。
▶︎ニアショア開発とは?コミュニケーションは取りやすいが課題も多い
同じ開発でも、契約形態を変えるだけで単価が大きく変わることがあります。
固定見積もり(請負契約):成果物に対して報酬が発生。納品物の完成責任を伴うため、バッファを見込んだ高めの単価設定になることが多い傾向がある。
準委任契約:時間単位で稼働を計上する方式。柔軟な対応がしやすく、無駄のない工数管理が可能。
さらに長期的な開発が見込まれる場合は、専属チームを持つ「ラボ型開発」という選択肢も検討できます。
これは毎月一定の人月単価でエンジニアをアサインする方式で、稼働の最適化やコストの平準化が図れるため、結果的に開発効率も高くなります。
▶︎【図解あり】ラボ型開発(ODC)とは?SESとの違い・費用・導入手順を徹底解説
以上のように、ベンダーの選定基準や契約の仕組みを見直すことで、人月単価を抑えながら、品質とのバランスを取ることが可能です。
次に、こうしたコスト削減の選択肢の一つである「オフショア開発」について、特に注目されているベトナムの事例を中心に解説していきます。
国内での開発コストを抑えるには限界がある――
そう感じたときに、有力な選択肢となるのが「オフショア開発」、つまり海外の開発会社との協業です。
中でもベトナムは、近年日本企業から最も注目されているオフショア先の一つです。
なぜベトナムなのか。そして本当にコストは下がるのか。まずは日本との比較から見てみましょう。
以下は、日本国内(首都圏)と海外でのエンジニア人月単価の目安です(海外のデータはオフショア開発白書2024年版を参照させていただきました)。
職種・スキルレベル | 日本国内(首都圏) | ベトナム | インド | フィリピン | 中国 |
---|---|---|---|---|---|
プログラマー(初級) | 60万〜70万円 | 約39.4万円 | 約53.3万円 | 約43万円 | 約44.4万円 |
システムエンジニア(中級) | 80万〜120万円 | 約48.3万円 | 約61.7万円 | 約55.7万円 | 約50.6万円 |
ブリッジSE | ― | 約59.0万円 | 約69.2万円 | 約73.6万円 | 約75.3万円 |
プロジェクトマネージャー | 70万〜130万円 | 約70.0万円 | 約77.5万円 | 約78.2万円 | 約86.3万円 |
これらの国では、同等のスキルレベルでも、いずれも日本よりも人件費が低く、人月単価はおおむね30〜50%低い水準に設定されています。
ただし、国ごとにエンジニアの言語対応力や教育水準、労働習慣、文化的親和性などに違いがあり、コスト以外の比較ポイントも慎重に見極めることが重要です。
表にも登場する「ブリッジSE(Bridge SE)」とは、日本と海外の開発現場の橋渡しを担うエンジニアのことを指します。オフショア開発を行うとき、日本語でスムーズに開発を行うためアサインされるポジションです。
このように海外に開発を発注すると、ブリッジSEを専任で配置するため余分にコミュニケーションのコストがかかりますが、それを差し引いても日本国内での開発と比べて全体コストが大きく抑えられるのがオフショアの大きな魅力です。
単価比較の際には、単なる金額だけでなく、こうした体制コスト全体を加味して判断することが重要です。
とくに中長期の開発や、一定人数のエンジニアを継続してアサインするようなケースでは、コストインパクトが非常に大きくなります。
オフショア開発の単価動向について詳しくは「【2025年最新】オフショア開発単価の動向は?円安時代の賢い活用方法」という記事をご覧ください。
現在オフショア開発で最も注目されているのがベトナムです。それは単に単価が安いからではありません。
ベトナムは以下のような日本企業との親和性の高さも評価されています。
日本語対応人材の豊富さ
日系企業の進出が多く、日本語を学ぶIT人材も増加中。BrSE(ブリッジSE)など、日越の架け橋となる職種も定着しています。
親日的な文化と柔軟な対応力
時間感覚や報連相の文化など、日本のビジネス習慣と比較的相性が良いとされます。
若く優秀なIT人材層
理系教育が盛んで、20〜30代を中心にスキルの高いエンジニアが豊富。国策としてIT産業を支援している点も背景にあります。
このように、ベトナムは「安かろう悪かろう」ではなく、“品質とコストの両立が可能な国”として実績と信頼を積み重ねてきた存在です。
▶︎オフショア開発するならベトナムをやっぱりおすすめする4つの理由
もちろん、単価が安いからといって安易に飛びつくと、思わぬトラブルに繋がることもあります。
コストと品質のバランスを見極めるために、以下のような観点での検討が必要です。
言語・文化・意思疎通の体制が整っているか
日本語対応スタッフの有無や、開発中のコミュニケーション体制は極めて重要です。
セキュリティや契約の整備状況
個人情報・機密保持・開発成果物の取り扱いなど、契約書や体制の整備があるか確認しましょう。
長期的なチーム運営が可能か
ラボ型開発や専属チーム体制が取れるかどうか。人の入れ替わりが激しい体制ではナレッジが蓄積されにくくなります。
▶︎初めてでも安心!オフショア開発の進め方をステップバイステップで解説
スキルや職種、地域によって異なりますが、
日本国内では60〜100万円程度が相場とされ、
オフショア先として注目されるベトナムでは、30〜45万円前後が一般的です。
プロジェクトの規模や契約形態によっても変動するため、相場を参考にしつつ、具体的な見積もりで確認するのが確実です。
人月単価は、単純な「月給」ではなく、
エンジニアの人件費(給与+社会保険など)
間接費(管理・営業・教育など)
会社の利益
を合計して設定される、ビジネス上の販売価格です。
「高い=給料が高い」ではなく、「高い=管理・マージンなどが上乗せされている可能性がある」と理解しておくことが重要です。
主な懸念点としては、以下のような点が挙げられます。
時差や文化の違いによるコミュニケーションの難しさ
品質管理体制が不十分な企業に依頼した場合のトラブル
日本語対応や報連相がスムーズにいかないケース
ただし、信頼できるパートナーを選び、体制・進行管理・日本語対応の整ったチームを組めば、これらのリスクは大きく軽減できます。
安さだけで判断するのは確かに危険ですが、単価の安さが必ずしも品質の低さにつながるわけではありません。
オフショア開発では、人件費や物価の違いが価格差に直結しているため、国内と同等レベルのスキルを、より低コストで確保できるケースも多くあります。
重要なのは、実績・体制・対応力など総合的に判断することです。
開発費の大部分を占める「人月単価」。
その数字には、エンジニアのスキルだけでなく、契約形態や開発体制、間接コストなど、さまざまな要素が含まれています。
この記事では、人月単価の基本的な考え方から、国内・海外の相場、そしてベンダー選定時の判断ポイントまでを整理してきました。
とくにベトナムのようなオフショア開発は、単なるコスト削減策ではなく、
品質・柔軟性・スピードのバランスを備えた選択肢として、多くの企業から信頼を集めています。
Rabilooは、ベトナムを拠点に、エンジニア人材提供と受託開発サービスを提供するソフトウェア開発会社です。
これまで多くの日本のクライアントと協業し、要件定義〜開発〜運用まで、並走体制でプロジェクトを支援してきました。
エンジニア単価や体制の透明性
日本語での円滑なやりとり
短期開発から継続的な体制構築まで柔軟に対応
といった点で、単なる委託ではなく、共に成長する「ビジネスパートナー」として選ばれています。
もし今、以下のようなお悩みをお持ちであれば──
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海外開発に興味はあるが、不安がある
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